マクロン氏は、長年、プーチン氏との特別なチャンネル構築を模索してきた。フランスのビアリッツで開催された2019年8月の主要7カ国首脳会議(G7)直前、マクロン氏はプーチン氏を大統領保養地のブレガンソンに招き、会談して各国首脳を驚かせた。
2年前のロシアのウクライナ侵攻直前、モスクワを訪問したマクロン氏は、プーチン氏と5時間に及ぶ仏露首相会談を行ったが、侵攻阻止にはつながらなかった。その後は一貫して仲介役を買って出て、2022年6月には「戦闘がやむ日にはわれわれが外交ルートを通じて活路を築くことができるよう、ロシアに屈辱を与えてはならない」と呼びかけ、ウクライナを怒らせたこともある。
踏み込んだ発言の意図
マクロン氏が踏み込んだ発言をしたのは、戦争を終結できない場合、ロシアの帝国主義的ビジョンからすれば、数年後にはフランスをも攻撃するという脅威を感じているからだと専門家らは分析している。これは平和主義者のバイデン氏や左派のショルツ氏とは一線を画す認識だ。
国際関係戦略研究所(IRIS)のジャンピエール・モルニー副所長は、マクロン氏の発言について、ロシアと対峙する核保有国フランスの抑止戦略の一環だと指摘する。「『次のステップとしてフランス軍が現地に赴けば、“ロシア軍には勝ち目がない” 』というメッセージをマクロン氏は送ろうとした」(モルニー氏)。今までより踏み込んだ発言をすることによってプーチン氏を交渉のテーブルに着かせる狙いがあるという。
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