半身マヒの91歳男性「人生で最後の帰省」のリアル 「1泊だけ」受け入れてくれる特養を探して…

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

現在、奥田さんは東京都中野区の特別養護老人ホーム(特養)に入居している。ツアーの数日前、佐々木看護師の元に奥田さんの診療情報提供書が届いていた。担当の医師が既往歴などについて細かく記した書類である。

これに目を通せば、ツアーの最中にどういったことに注意を払えばいいのか、大まかな計画をたてることができる。

「尿道カテーテルを使っているようなので、道中これの処理が必要になるだろうな」

そういった、医療者の目線でのチェックだ。

ほかにも、高齢であること、右半身にマヒが残っていること、口から食べることはできるが、時々むせることがあることなど、佐々木看護師は診療情報提供書を丁寧に読みながら、ツアーの全体像を頭の中で組み立てた。

介護タクシーでも、長距離だと負担は決して小さくない

東京から岐阜まで、主に中央高速道路を使う片道約400キロメートルの旅だ。

今回は、車いすをそのまま積み込むことができる介護タクシーでの移動となる。

高齢者や病気を持つ人の送迎に慣れている介護タクシーとはいえ、車での長距離の移動は、利用者に大きな負担だ。

「休憩を多めに取りながら、無理のない旅を」

と佐々木看護師は考えていた。

地図をにらみながら、

「中央自動車道を使って、休みなしで向かえば、5時間ほどの行程だけど、途中最低でも4回は休憩を取りたい」

91歳の奥田さんが東京から岐阜まで移動した福祉タクシーの車内
91歳の奥田さんが東京から岐阜まで移動した福祉タクシーの車内(写真はケアミックス提供)/外部サイトでは写真をすべて見ることができません。本サイト(東洋経済オンライン)内でご覧ください
次ページ2日おきに尿道カテーテルの洗浄が必要があった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事