昼下がりに眠気が強くなる人の体に将来迫る危険 血糖値の急変動に覚えがあるなら生活上の工夫を

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さらに、私自身もとても驚いたことなのですが、普段からかなりの運動をしている方や、プロアスリートの方たちですら、「食後高血糖」「血糖値スパイク」を呈して、糖質疲労を感じるという方が多いのです。

よく知られる健康法や健康習慣、トレーニング法などの中にも、それらの効果を無にするばかりか、「食後高血糖」と「血糖値スパイク」を起こしかねないものもあるのです。

「病気」までのカウントダウンは「あと10年もない」!?

先にも述べたとおり、空腹時高血糖が起こる10年ほど前から食後高血糖が生じます。糖質疲労は食後高血糖やその後の血糖値の急峻な降下(血糖値スパイク)の自覚症状ですので、糖質疲労は、健診で異常を指摘される10年ほど前から生じることになります。

糖質疲労
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糖質疲労の段階ではまだ病気とは言えず、いますぐにお薬を飲む必要があるわけではありませんが、放置しておくと、いずれドミノ倒しのように糖尿病・肥満・高血圧症・脂質異常症に至る可能性があります。

糖質疲労から始まる負の連鎖は、ある時点から「不可逆的」になります。身体の細胞や臓器に代謝上の記憶が刷り込まれ、完治しなくなってしまうのです。しかし、糖質疲労の段階ならば、「可逆的」な状態なのです。

もし「そういえば30代(40代)のときは午後も元気だったのに、40代(50代)に入ってから昼下がりに眠気が強くなっている」とお感じならば、糖質疲労(食後高血糖)の有無をご確認いただき、そうであるならば、ぜひ、生活上の工夫をしていただきたいです。

食後高血糖から健診でひっかかる空腹時高血糖までは10年と申しました。しかし、もし糖質疲労があるとすると、すでにドミノは上流で倒れ始めています。10年の猶予はないのです。

山田 悟 北里大学北里研究所病院副院長、糖尿病センター長

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やまだ さとる / Satoru Yamada

医師。医学博士。1994年慶應義塾大学医学部卒業。糖尿病専門医として多くの患者と向き合う中、2009年米医学雑誌に掲載された「脂質をとる食事ほど、逆に血中中性脂肪が下がりやすくなる」という論文に出会い衝撃を受ける。現在、日本における糖質制限のトップドクターとして患者の生活の質を高める糖質制限食を積極的に糖尿病治療へ取り入れている。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医、日本医師会認定産業医。著書に『糖質制限の真実』(幻冬舎新書)、『運動をしなくても血糖値がみるみる下がる食べ方大全』(文響社)など。「ロカボ」という言葉の生みの親でもある。

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