「週刊誌を訴える」芸能人続出が暗示する"臨界点" 松本人志、デヴィ夫人ら相次ぐ提訴は何を意味するのか

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もちろん週刊誌の編集部としては、公共性・公益性、真実性、真実相当性に絶対の自信を持って報じている」という記事も多いのでしょう。実際、文春オンラインはデヴィ夫人の刑事告訴が報じられた翌28日に「〈刑事告訴〉デヴィ夫人に『『週刊文春』』と団体理事が徹底反論 『1700万円持ち逃げトラブル』証拠文書も公開 理事は『大変驚き、恐ろしく感じている』」という反論記事をアップしました。

今後も芸能人と週刊誌サイドはこのように互いの主張をしていくでしょうし、だからこそ私たちは1つひとつの報道を冷静かつ公平な目線で見ていかなければいけないと感じさせられます。

過激な内容でシンクロする不自然さ

そしてもう1つ最後に挙げておかなければならないのは、週刊誌のみならず雑誌をめぐる厳しい状況。週刊誌や月刊誌が売り上げ減を理由に季刊誌や不定期刊行誌に変わる。あるいは廃刊が報じられるなど、雑誌をめぐる状況はさらに厳しさを増しています。

ある意味でその厳しさを象徴しているのが、「独り勝ち」と言われる『週刊文春』ですら電子版の中に“ご寄付のお願い”というページを設けていること。さらにその中で、「多くのメディアは今、取材費の問題に直面しています。実際に『現地にはいかずに電話取材だけで済ませるように』と言われている記者もいます。本格的な調査報道を断念せざるを得ない媒体は、日に日に、確実に増えています」などと事情を明かして取材費を捻出しようという動きが見られます。

筆者自身、長年にわたって週刊誌編集部にコメント提供するなどやり取りを続けてきましたが、近年は大手出版社でも「もはや紙の雑誌はフラッグシップという認識」「主力社員をオンライン版に移動させて収益増を急ぐ」などの変化を強いられていると聞いていました。

そのオンライン版はどの週刊誌も配信しているものの、新聞社系やネット専門メディアなども含めた争いは熾烈。「広告費を得るための厳しいPV争いにさらされる中、より人々の関心を引ける芸能人の記事が過激になっていく」という状態が続いています。

三代さんは会見でそんな状況に疑念を抱いていました。訴えた3誌すべてが「加藤茶さんが三代さんを叱責した」などと報じたこと。さらにそのうちの2誌が「仲本さんの所属事務所社長からもらった戒名料を三代さんが着服しようとした」などと報じたことを疑問視していたのです。

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