密かに加速「旧ジャニーズ起用再開」の正しい見方 目黒蓮さん起用のFENDI、キャスティング再開のフジテレビ…

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運営のための資金調達はどうするのか? マネジメントなどを担当する社員の確保はどうするのか? タレントの育成はどうするのか? タレントの仕事はどこからどのように取ってくるのか? 不確定要素は多々あるが、経営陣や本社移転などの大枠も決まり、少しずつ体制が整ってきていることはうかがえる。

今回の騒動を受け、SMILE-UP.社から退所する著名タレントも複数出ている状況で、どのくらいのタレントがSTARTO社と契約するか未知数の部分はある。一方で、タレントとの面談やテレビ局回りを他の業務に優先して行っているという報道、関ジャニ∞から改名した「SUPER EIGHT」を商標出願したという報道が出るなど、本業回復へ着々と準備している様子も感じ取れる。

福田淳社長は、現時点ではあまり外部に向けた情報発信、意思表明をしていない。福田社長に対しては、旧ジャニーズ事務所から大きく変化することを懸念する一部のファンからの風当たりもある。今、メディアの前に出ると、本来はSMILE-UP.社側の担当・管轄である被害者との向き合いについて批判を受け、両社の役割分担が曖昧化してしまう可能性もある。現状では、あえて表に出ず、地盤固めをしているというところではないだろうか。

そうした点も含め、新会社をスムーズに立ち上げるうえで、適切なプロセスが取られているように見える。STARTO社を率いる取締役には、井ノ原快彦さんが名を連ねているが、ほかは旧ジャニーズ事務所外から起用されており、旧ジャニーズ色は薄くなっている。

いまSMILE-UP.所属タレントを起用しても大丈夫?

STARTO社が本格的に稼働すれば、NHKについてはやや不透明なものの、ほかのメディアやスポンサー企業が契約タレントを番組や広告に起用するうえでの障壁はさらに低くなるだろう。

ただ、4月からSTARTO社が本格稼働して以降は、旧ジャニーズのタレントたちはそちらと契約するとはいえ、現在のところは依然としてタレントがSMILE-UP.社に所属し続けている。その現状についてはどう考えればいいのだろうか。

結論から言えば、筆者は「取引先各社の判断で対応を決めればよい」と考えている。以前の記事でも書いた(日本企業「ジャニーズからの撤退」に感じる違和感)が、タレントを起用するかしないかが問題なのではなく、取引先に対して責任を果たすのか否かが問題である。

起用するのであれば、SMILE-UP.社が被害者と向き合い、補償と救済を誠実に行っているのか、STARTO社が旧ジャニーズ事務所の悪弊と決別して新しい会社として立ち上がっているかを注視して、それができていないのであれば改善を求めればよい。

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