算数の点数が伸び悩む子どもによくある落とし穴 クイズに挑戦、ヒラメキが算数の思考力を強化

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今回の問題では、例えば小学生であれば「校舎の1階から、3階の音楽室へ移動するときを思い出してみて」とヒントを出します。体験と結びつくことで、なぜ登場しない2という数字で割るのかを理解できます。

小さい頃から遊びや生活のなかでさまざまな体験をさせることは、算数をイメージするための引き出しをたくさん作っておくことにつながります。「あのときのあれか!」というヒラメキが算数の思考力を強化するのです。

日常生活の会話の中に算数を取り入れる方法も有効です。料理をしながら「2人分のレシピだけど我が家は3人家族だから、どうすればいいかな?」とか、お出掛けをしながら「家から公園まで300mだったね、歩いて5分で着いたから、速さは?」など、体験と算数を結び付ける会話を楽しみながら取り入れるようにすると思考力向上につながります。

日常のコミュニケーションで楽しく算数力を高めよう

今回はビルの階段問題を例題に、見える数字に飛びつくことの落とし穴について考えました。

「このクイズがおもしろい!」と思っていただけたら、ぜひご家庭で子どもたちにも出題してみてください。こういった問題は、中学受験対策などとして無理やり勉強させても、なかなか楽しい気持ちで取り組めないものです。

親子のコミュニケーションの一環として、お互いに算数クイズを出し合うなど、日ごろから遊びと生活のなかに算数を溶け込ませる工夫をしましょう。算数が本当の意味で得意になるためには、ただ計算をスラスラ速く解けるようにすればいいというわけではありません。

普段の生活や遊びのなかで楽しみながら、算数を使う体験をたくさんさせてあげてください。

今木 智隆 RISU Japan代表取締役

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いまき・ともたか / Tomotaka Imaki

京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザ行動調査・デジタルマーケティング領域専門特化型コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売り流通領域クライアントなどにコンサルティングサービスを提供し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japanを設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。日本国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいと、アフタースクールなどからのオファーが殺到している。

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