Appleに先行、日本発「定額」音楽配信の勝算 サイバーエージェント藤田晋社長に聞く
結局、ネットサービスは、最もいいものが生き残るのです。そして、Winner Takes it All(勝者総取り)です。クオリティが高いものを作ることが重要で、会員数やデバイスとひもづいているかどうかは、ほとんど関係ありません。だから松浦さんに対しては、「Amebaと連動うんぬんではなく、『最もいいものが生き残る』ことに気づいている私たちとやりましょう」と伝えたのです。
――とは言っても、Amebaの会員数は4000万を超えているわけですから、松浦さんも人数をテコにした告知効果や拡散効果に期待するところはなかったのですか?
松浦さんもそこは期待していましたが、音楽の趣味がリアルの友達と合っていることのほうがまれですよね。だったら、コミュニティであるAmebaで、音楽を通してやり取りをするとかのリアリティはないと思いました。あと、ネットのサービスでは、テレビCMがきっかけになったり、ニュースや情報番組などマスメディアで取り上げられて認知度が上がった結果でヒットすることも多いです。そういったマーケティングプランやテレビCMの企画などでキチンと当てられれば、会員数やデバイスに依存する必要はないと考えています。
――今後、多くのライバル企業が参入してきますが、先ほどの「Winner Takes it All」に従うと、どのくらいの期間が勝負になりますか?
そういう意味では、各社参入タイミングは大体、一緒なので、今年中に動静が見えるのではないでしょうか。ネットサービスは先にブレークしたところが頭10個ぐらい抜けてしまい、後から追いつくのは至難の技です。だからこそスタートダッシュは肝心です。
――後発だったアメブロがブログ界でトップになったのは珍しいことだったのですか?
あれは、先行していたライブドアブログが、堀江(貴文)さんが逮捕され、一気にイメージが悪化したことが原因でした。もしあんな出来事がなく、堀江さんがやり続けていたら、二度と追いつけずに引き離されていたと思います。
企業文化はエイベックスとよく似ている
――どんな人材をサイバーエージェントからAWAに送り込みましたか?
送り込むというよりは、僕がいるフロアにAWAの部隊がいるのです。音楽事業をやることを発表したら、多くの社員が「自分がやりたい」と手を挙げました。しかし、技術者とデザイナー以外は入れませんでした。
――プロデューサーを入れなかったということですか?
最近は数人、入れましたが、リリースまではいっさい入れないようにしました。実際、プロデュースは私がやっていますが、とにかくモノづくりに専念してもらおうと思っていますね。私もプロデューサーとはいっても、四六時中そこにいるわけではなく、全体の方向性を示すだけ。エンジニアやクリエーターが、ああでもないこうでもないと言いながら、いいものづくりができるチーム環境を作るのがいちばん大切だと思っています。
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