Appleに先行、日本発「定額」音楽配信の勝算 サイバーエージェント藤田晋社長に聞く
――AWAの大きな特徴は「プレイリスト」と「レコメンド」ですが、この両機能はYouTubeやニコニコ動画でも備えていますが、何が違いますか?
まず、音質が違いますし、そもそもYouTubeは基本は動画サービスなので「音楽を聴く」のとはやや違うと思うのです。スマホがここまで普及することにより、今やスマホで音楽を聴くことは当たり前になってきました。PCで音楽を聴くということは多くの人にとって若干違和感があったと思うんですよね。音楽を聴くデバイスとして、PCはそれほどメジャーではないのではないでしょうか。
――YouTubeとかニコ動だと、【作業用】とかいった動画が案外落ちていて、画面にはひたすらCDのジャケ写が映っていたりします。それは私のように、PCに1日中張りついている珍しいタイプの人向けの文化なのでしょうか?
そうだと思いますよ。キーボードがあることで、なんとなく聴きづらくなります。音楽ってやっぱりスピーカーを置いて聴きたいじゃないですか。スマホだったら実質スピーカーにもなるし、Bluetoothスピーカーに飛ばすことも違和感がなくなってきています。スマホは音楽や動画の視聴態度を明らかに変えました。本当に、ここ数年の話ではありますが。
最もいいものが生き残る
――AWAは、「Ameba」とどんな連携をしていきますか? 既存のAmebaユーザーに対し、なんらかのPRをしていくのでしょうか?
松浦さん(エイベックス・グループ・ホールディングス社長の松浦勝人氏)はパートナーを探していた初期の頃、多数の会員をベースに持っている会社や、なんらかのデバイスとひもづいていたりしないと組むのは難しいと考えていたようです。だから、多くの会員がいるAmebaを運営するサイバーエージェントに期待をしていた面もあると思います。しかし、さんざんAmebaでいろいろなサービスを立ち上げてきた人間としての立場から言うと、会員数がどれだけいようが、ほとんど関係ないのです。
もともとの会員母体を持っているとか、(携帯電話やスマホなどの)デバイスとひもづいているとか、そういったことが成功を約束してくれるわけではないのです。たとえば、携帯電話の会社がエンタメ系のサービスを始めたとすると、「デバイスとひもづいているし、多くのユーザーがいるから、簡単にうまくいくはずだ」なんて思われがちですが、必ずしもうまくいくわけではありません。それはAmebaの会員数の多さも同様です。
それよりも、生き残るサービスというのは、最もクオリティが高いサービスです。かつて検索エンジンの百花繚乱時代がありました。ライコスとかインフォシークなど多数のサービスが登場しましたが、結局、ヤフーやグーグルがいちばんいいものを作っていたから、今でも支持されている。ショッピングモールにしても、「あんなに楽天が儲かっているなら、ウチもやっておけばよかった!」と思ってしまうかもしれませんが、楽天が出始めた時代、実はショッピングモールはすごくたくさんあったのです。でも、結局、楽天がいちばんいいものを作っていたから、今でも使われている。あとは当然、アマゾンもいいものを作っていたから生き残り、発展を続けているわけです。
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