朝7時から11時にタクシーがつかまらない
国内の営業用トラックの輸送能力は、このままいけば2030年に34.1%が不足するという(NX総合研究所調べ)。消費者も物流問題では、その深刻さを年々身近に感じつつある。
EC(ネット通販)の普及によって、ヤマト運輸が宅配便の総量規制や値上げを実施し、「宅配クライシス」と呼ばれたのが2017年。日本郵便が普通郵便(手紙・葉書き)の土曜配達を中止したのが2021年だった。近年では、セブン‐イレブンが弁当や総菜など日配品の配送回数について、1日4回から3回に順次変更している。
2024年問題で残業規制が適用されるのは、タクシーやバスのドライバーも事情は同じである。
タクシーの場合、2023年5月の新型コロナウイルスの5類移行を受け、日本人やインバウンド(訪日外国人)の観光が復活したという事情もある。コロナ禍でタクシードライバーが大量に離職したが、コロナ収束後も業界には戻ってこないからだ。
とくに繁華街や観光地では、目立ってタクシーがつかまらなくなった。東京ハイヤー・タクシー協会によると、都内で最もタクシーが足りない時間帯は、通勤にかかわる平日の朝7時~11時だという。
さらにはバスもドライバー不足を受け、地方で路線バスの減便・廃止が続く。
長野の長電バスは1月下旬から日曜運休に踏み切り、大阪の金剛自動車は2023年12月に路線バス事業の廃止を決断した。何と東京23区も例外でなく、足立区はコミュニティバス「はるかぜ」を減便している。バスは“地域の足”を奪われているのが実態なのだ。
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