18歳の光源氏が「10歳の少女」に心奪われた深い訳 大河でも話題「源氏物語」の世界を読み解く
そもそも、なぜ光源氏は10歳の少女・若紫に恋をしてしまったのでしょうか? 光源氏が若紫のことを目にするシーンは、こんなふうに描かれています。
主人公の男性が、10歳の少女を見て涙を流しているというかなり衝撃的なシーンですが、注目すべき点は「いとよう似たてまつれる」というところです。
実は、この少女は、光源氏の思い人である「藤壺」という女性と似ていました。後々、少女は、藤壺の親戚であることが判明します。この少女のことを光源氏が好きになったのは、藤壺と似ていたからなのです。
少女に似ていた継母の存在
しかし、なぜ涙を流しながら彼女のことを見ているのか? それは、藤壺という女性が、光源氏と決して結ばれるはずのない相手だからです。というのも、藤壺は実は、光源氏ではなく、光源氏の父である天皇の妃なのです。つまり光源氏は、継母に恋をしてしまっているわけです。
「なぜ、この女の子に魅かれたんだろう?そうか、この子は、藤壺と似ているのか」と気づくのが、このシーンなのです。ここではじめて、結ばれるはずのない藤壺への思いがどこまでも深いことに気づき、驚きとともに、涙が自然と流れるわけですね。
さて、その後、この少女についての詳しい事情が明らかになります。この時10歳の少女であった若紫は、祖母と一緒に暮らしていました。その理由は、お母さんが早くに亡くなってしまっていたからです。
この当時はよくある話ですが、若紫のお母さんは、「正妻」ではありませんでした。この時代、男性は多くの妻を持つのが当たり前の、一夫多妻制の時代でした。そして、その中でもいちばん、位の高い妻が、「正妻」となります。
若紫のお母さんは正妻ではないために、正妻の家から多くの嫌がらせを受けてしまい、若紫が幼いころに心労を募らせて亡くなってしまった過去を持っています。
そんな経緯があったため、光源氏と出会ったときの若紫は、お父さんとも離れて、母方の祖母と一緒に暮らしていました。そこに、光源氏は足しげく通うようになります。
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