「内向型の人」が強みを生かして成果を出す働き方 アップルの成功も「内向型」の力が導いた
彼の生きざまは、内向的な人に勇気を与えてくれます。人の幸せは、天才であっても凡人であっても「自分らしさ」にあることを、『ビューティフル・マインド』は物語っています。
アップルの成功を導いた「魅力あふれる内向型」
アメリカのアップルには「2人のスティーブ」がいました。1人は誰もが思い浮かぶスティーブ・ジョブズです。もう1人はアップルの土台となった最初のパソコンをつくったスティーブ・ウォズニアックです。高校の先輩と後輩だった2人のスティーブが、それぞれ500ドルを投資してアップルを創業しました。アメリカでは、このウォズニアックは内向型で有名です。
この2人はともに学生時代から電子工学に夢中になっていましたが、性格は正反対でした。
昔の従業員やアップルファンの人たちは今でも「アップルといえばウォズニアック」と断言します。現在のアップルの企業文化やビジョンを発展させたのはジョブズですが、アップルの技術をつくったのはウォズニアックだからです。
実際、アップルで「つくる」役割を果たしたのは内向的なウォズニアックでした。つくるのはいつもウォズニアックの使命で、それを商品化したのがジョブズでした。30個のチップだけで構成されたアップルコンピュータIや歴史を変えたアップルⅡは、いずれもウォズニアックの発案です。
2人の関係を示すエピソードがあります。ジョブズがアップルの創業前にエンジニアとして働いていたころ、1人用のビデオゲームの作成でウォズニアックに助けを求めます。
ウォズニアックは「何カ月もかかる」と抵抗しましたが、ジョブズは彼をじっと見つめ、「4日でできるはずだ」ときっぱり告げます。ウォズニアックは「不可能だ」と思いながらも、結局は言われるままに完成させます。
ジョブズは報酬として数千ドルを受け取りますが、報酬は700ドルだと嘘をつき、その半分だけウォズニアックに与えます。初期のアップルがどのようにして会社を大きくしていったかを物語るエピソードといえるでしょう。
しかし、ウォズニアックにとって金は重要ではありませんでした。彼は後年「報酬が25セントでもやっていたよ。面白かったから」と笑いながら振り返っています。
技術者だった父親から、3歳のときに電子学の原理を教わったウォズニアックには、何かをつくる目的はお金ではありませんでした。「世界をより便利に、より住みやすくする」が使命でした。
彼は「自分の知る限り発明家やエンジニアという人種はとても自分と似ている。最高の発明をする人間は、アーティストでもあり、真価を発揮できるのはひとりで仕事をするときだ」と語っています。
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