SNS多用する人に伝えたい、相手を傷つけない技術 文字によるコミュニケーションが難しい理由
ソーシャルメディアでの会話から得られるものは、皆無ではない(ストレスを発散して気分がよくなったりはするだろう)し、確かにいくつかの利点はあるだろう(リアルタイムで相手に反応しなくてもよい)。
ただ、それらを除けば、ソーシャルメディアはもともとただでさえ難しい議論というものを、さらに「ハードモード」にしてしまうものだ。分断を煽るような会話や挑発的な内容をソーシャルメディア上でシェアすることについて、一つだけはっきりしていることがある。
それは、〔人間〕関係を破壊し、〔すでにひどい状態にある〕ソーシャルメディアの害悪をさらに強めてしまうということにほかならない。
書き言葉は情報量が少なく、誤解を招くことも
種としての私たち人類は、対面での会話をできるように進化してきた。たいていの場合、相手の顔を見れば、口調やしぐさ、顔の表情から色々なことを簡単に読み取れる。
〔他方で、〕テキストでのやりとりではそういった重要なヒントがいっさい得られない。これらの標識がないことによる利益もあるだろうが、それよりも〔交わされる〕内容の深みが失われるという損害のほうがずっと大きい。
文字で書かれている主張は多くの異なった意味に解釈されうるという特徴がある。こうした多義性〔による混乱〕の多くは、話しぶりという情報さえあれば解決してしまうようなものなのだ。
皮肉はその例の一つで、 文字でのチャットだと、口頭で話しているときよりもはるかに気づきにくくなる。そこで皮肉を表すためだけに使う〔「!」や「?」のような〕記号を開発しようという試みがあるくらいだ。
加えて、話し言葉では強調する位置を変えることで、語の意味を変えることができる。例えば、「それはフェアではないと私は思います」という発話において、どの語に強調を置くかによって意味が変わってくる。