残念な社長が「残念な人」に大仕事を任せがちな訳 「社員を舐めている」から現場の説得に手を抜く

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改革に前向きではない人を説得して改革を任せる――そんなの大変だ、と思われるかも知れません。でも、その「大変なこと」を避けて通るから、いつまでたっても改革が成功しないのです。

「時短のプロセス」を時短するから失敗する

時短改革に取り組もうとして頓挫する会社の多くは、時短のプロセス自体を「時短」しようとして失敗します。

現場を説得する手間や労力は、絶対に省いてはいけませんし、手を抜いてもいけません。

改革を主導する立場の人は、自社の社員たちを「軽く見ている」ことが多い。「同じ社員だからわかってくれるだろう」と油断していることもあります。そのため、丁寧に説得する手間を省いてしまいがちです。

商売の鉄則として、顧客の満足(Customers’ Satisfaction:CS)を最優先すべきとされた時代が長く続きました。「お客様は神様」精神ですね。

しかしいまは、最初に自社の社員の満足(Employees’ Satisfaction:ES)があるべきだという考えが主流になりつつあります。

「CSよりES」。社員が不満たらたらな状況で顧客にすばらしい体験をしていただくなんて、とうてい無理な話だということです。

クライアントへの提案、説明、説得、そしてお願いも含めて、どれだけ時間と手間とコストをかけるかを考えてみてください。

クライアントを驚かせ、喜ばせ、ライバル社より当社を選んでいただくために、いったいどのくらいの分厚い準備を重ねるか、思い出してください。

それと同じように、いや、それよりも丁寧に、自社のメンバーに向き合うのです。

そう聞いて「笑わせるな、何のために毎月、安くない給料を払っていると思っているんだ」と感じてしまったら、あなたの「経営観」は相当大がかりなアップデートが必要です。

アプリを更新するだけでなく、OSから入れ替えないといけませんね。

この新しいOSは「人的資本経営」と呼ばれるようになっています。要するに、人材から見捨てられるような企業が、顧客に選ばれ続けて持続的に成長するなんてことは、金輪際あり得ないということです。

「自社の社員を説得するプロセスこそ、けっして時短してはいけない」

ちなみにこれは、ご家族に対するコミュニケーションにも、通じるものがあるかもしれません。

書籍『鬼時短』に掲載した【23の「やること」と58の「チェックポイント」リスト】はこちらからダウンロードできます
小柳 はじめ Augmentation Bridge(AB社)代表、元電通「労働環境改革本部」室長

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こやなぎ はじめ / Hajime Koyanagi

1965年生まれ、東京大学法学部卒業。

1988年電通入社。電通勤務の最後、2016年から18年まで、社長特命により電通自身の「労働環境改革」にたずさわる。全社の労働時間の大幅短縮を達成し、残業時間を60%削減した。削減時間は全社で1カ月当たり10万時間超に及ぶ。

2019年、53歳で電通を早期退職し独立。AB社代表として、数多くの企業に時短・業務改革の支援を続けている。

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