テイラー・スウィフトに「陰謀論」が付きまとうワケ トランプ支持者からのレッテルが大統領選を揺るがす
荒唐無稽な陰謀論を多く紹介するのも気が引けるのだが、もう少しだけ。
いまアメリカで注目を集めているのは、スウィフトさんとNFLに関するものだ。MAGAの連中は「テイラー・スウィフトとトラビス・ケルシーの交際は、実はNFLと民主党が『演出した』もので、本当の恋人同士ではない」と主張したり、あるいはスーパーボウルに関してまで「NFLと民主党が八百長を仕組んでいる」と吠えたりしてきた。
2024年のスーパーボウルが延長戦にもつれ込んだ末にチーフスが勝利を収め、スウィフトさんとケルシー選手が歓喜の抱擁をする様子を見て、MAGAは「やはり八百長だった」という思い込みを強めるのであろうか。
BTSファンたちのパワー
こうした陰謀論が絶えない背景から、どうにか合理性を見出そうとしてみるのは不可能ではない。というのも、確かにスウィフトさんはトランプ氏を嫌悪している。
そして、4年前の大統領選で彼女はバイデン氏支持を公言したのだ。それが接戦においてバイデン氏の勝利に一役買ったとの見方もある。それがMAGAから陰謀論が飛び出す土台である。
ただ、世界的な大スターといっても、一国の大統領選を左右するほど影響力があるのか、との疑問も湧く。ましてや、スウィフトさんのファンには投票権を持たないティーンズが多い。
しかし前回の大統領選で、若い世代が持つ破壊力を知らしめる出来事があった。
韓国が世界に誇るBTSのファンたち(通称「アーミー」)が、オクラホマ州で開催されたトランプ氏の選挙集会に「入場券を大量に予約して、実際には行かない」という手法を駆使し、会場を空席だらけにしてみせたのだ。呼びかけはTikTokやTwitterを通じて猛スピードで拡散した。
BTSは人種差別への反対運動“Black Lives Matter”に100万ドルを寄付し、それに呼応して「アーミー」も同じくらいの金額を集めて寄付したというエピソードもある。
いま、世界的に若い世代の社会正義に対する感度は高い。上の世代からは「左派的」に見えることから、「ジェネレーション・レフト」とも呼ばれる。
イスラエルのガザに対する過剰な報復攻撃に対して世界各地で若者たちが抗議の声を上げているのも、「ジェネレーション・レフト」の価値観に合致する。
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