中国進出企業の労務リスクマネジメント 高原彦二郎、陳軼凡編著
通り一遍の抽象的なテキストではない。現地事情に精通する専門家ならではの、実践的な内容になっている。
「合理、合法、合情」が、中国における労務管理の三原則と、書き始める。要は「郷に入れば郷に従え」を理、法、情それぞれに沿った労務管理にせよと分解して説明する。
中国の場合、「法律と実務の間に乖離」があるので、法もなかなか難しいようだが、それでも実定法があるだけ、対応はしやすい。問題なのは情で、日本人の感覚の情(なさけ)とはもちろん異なる。中国人は徹底した個人主義ながら、人間関係に「外人(ワイレン)」(他人)と「自家人(スージャーレン)」(身内)の区別があること、権利意識が強く、メンツを重視し、その一方で、公私のけじめが薄いとも指摘する。
集団転職、スト、騒乱といった労働紛争はこれから多発すると考える著者が、関連法制の整備で新時代に入った中国の労使関係をわかりやすく解説する。
日本経済新聞出版社 2100円
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