春節「日本に行くのやめた」中国人達が"集まる国" 人気の旅行先だったが手強い競合が現れる
2023年1~9月期連結決算で中国市場の業績が大きく悪化した資生堂とポーラ・オルビスホールディングスはいずれも、ライブコマースやインフルエンサーを起用したプロモーションの取りやめで、新規顧客獲得に苦戦していると説明した。
アリババグループも昨年11月の独身の日セールでは、中国の消費者向けに日本ブランドの売り込みを控えていた。(過去記事:中国「独身の日セール」日本ブランド大苦戦の深刻)
海外旅行でも同じことが起きている。日本に行きたい人向けには旅行商品を販売しているが、積極的なプロモーションは仕掛けにくい状況が続いており、その結果、日本旅行に関する情報が消費者に届きにくくなっているようだ。
「日本に行くのは今じゃない」
しかし処理水問題も、今回の春節で海外旅行先として日本人気が低下している最大の要因ではない。より大きな理由は競合の台頭だ。
中国のSNSや検索サイトで「春節」「海外旅行」と検索すると、上位にはシンガポール、マレーシア、タイをまとめた「新馬泰」という言葉が並ぶ。
大学生の娘を持つ上海在住の会社員女性(40代)は、昨年9月に「国慶節は娘の大学合格祝いを兼ねて日本に家族旅行しようと思っていたけど、航空券が高すぎてやめた。春節のときに行く」と話していたが、春節直前に「英語も中国語も通じるし、ビザもいらなくなったから」と旅行先をシンガポールに変更した。
中国外交部は1月25日、30日以内の滞在についてシンガポールと相互ビザ免除を実施すると発表した。ビザ免除は2月9日から発効し、外交部は「新年の贈り物」と表現した。
中国とタイも1月28日、30日以内の観光目的での滞在について、ビザを相互に免除することで合意した。
タイは観光産業回復のため、中国人に対して2023年9月下旬から今年2月末までの一時的な措置としてビザを免除していたが、正式措置に移行する。マレーシアも昨年12月から、観光目的で30日以内滞在する中国人に対しビザを免除している。
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