春節「日本に行くのやめた」中国人達が"集まる国" 人気の旅行先だったが手強い競合が現れる
春節の海外旅行で話題を呼んでいるのは、今年1月に商業就航を開始した中国初の国産大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」だ。
春節期間中は、9日に上海を出航し、鹿児島、長崎、済州島を巡るツアーと、14日に上海を出航し、沖縄に向かうツアーがある。客室2125室を擁する同船だが、船上で新年を迎える9日発のツアーは、バルコニー付きの部屋が早々に完売したという。
2022年末までゼロコロナ政策を続けていた中国は2023年8月に訪日団体旅行を解禁し、現地の旅行プラットフォームでは「日本」の検索が急増したと報じられた。中国EC大手アリババグループの日本法人がすぐに、日中越境医療ツーリズム事業を始めると発表するなど、日本側の期待も大きく高まった。(過去記事:中国人が「日本の医療」を爆買い?関心高まる背景)
と、これらの動きからは今年の春節では日本旅行が大人気のように見えるが、実際はそうでもない。
アドラの日本行きクルーズ旅行を申し込んでいる人の多くは、話題の国産クルーズ船に乗ることが第一の目的だ。国慶節や春節の長期休暇の前には、検索数に基づいた「人気の旅行先」や旅行のトレンドに関する情報が多く出るが、今春節では日本に関する言及はあまり目立たない。
日本では中国の景気が減速しているから海外旅行を控えている、という分析も散見されるが、中国では「休暇が長いから海外に出かける」「一方で、景気がいまいちだから近場の海外が人気」というデータが多い。だったら日本はドンピシャのはずなのだが……。
処理水問題の影響払拭されず
日本旅行が盛り上がらない理由の1つは、処理水問題の影響が払拭されていないことだ。
東京電力福島第一原子力発電所が昨年8月下旬から処理水を海洋放出したことで、中国で激しい日本叩きが起きたことは記憶に新しい。海産物でなく肌につける化粧品など幅広い日本製品が中国人消費者に忌避され、その流れのまま10月の国慶節休暇に突入した。
もちろん、日本バッシングが起きているとしても、過去に日本を旅行したことがあるリピーターは以前と変わらず日本に行きたがっているという声は多い。だが、リスクを恐れ、中国では日本ブランドのマーケティングが縮小している。
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