「ガストに行けない」低賃金にあえぐ介護職の実態 「年収が低く結婚できるのかわからない」

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スキルアップのため介護福祉士と社会福祉士の資格を取ったが、給与に反映された資格手当は月に1万5000円程度。昇進したとしても月給30万円が最高水準で、将来の見通しが立たない。

元は一般企業の営業職で初任給は手取り20万円だったことから、「介護職はいくら経験を積んでも、企業でいう初任給水準がずっと続く」と悟った。「独身のまま高齢になって、孤独死するのが怖いです」と不安を抱く。

月収は平均より6万円低い

日本医療労働組合連合会の寺田雄・中央執行委員は「介護職で働く人は低賃金で生活が成り立たず、将来不安を抱く人が多い。せめて全産業平均まで介護職の賃金を引き上げる必要がある」と指摘する。

そして、冒頭の美幸さんは「介護職は子どもを産み育てるなと言われているようなものです」と憤る。改めて、介護職の処遇とその生活に目を向ける必要がある。

小林 美希 ジャーナリスト

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こばやし・みき / Miki Kobayashi

1975年、茨城県生まれ。株式新聞社、週刊『エコノミスト』編集部の記者を経て2007年からフリーランスへ。就職氷河期世代の雇用問題、女性の妊娠・出産・育児と就業継続の問題などがライフワーク。保育や医療現場の働き方にも詳しい。2013年に「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。『ルポ看護の質』(岩波新書、2016年)『ルポ保育格差』(岩波新書、2018年)、『ルポ中年フリーター』(NHK出版新書、2018年)、『年収443万円』(講談社)など著書多数。
 

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