次の東京15区も、この「自公対乱立野党」の構図となる可能性が大きい。衆院は2月1日の本会議で、江東区長選での買収容疑により逮捕・起訴された柿沢氏の辞職を許可。これを受けて各党はそれぞれ擁立候補の選任を進めているが、自民、立憲、維新の“3強”に加え、「新興勢力」として注目されている日本保守党も候補擁立の構えだ。
作家で同党代表を務める百田尚樹氏は2月3日、ネット上で同補選について「誰かを立てます。初陣になります」と明言した。昨年9月結成の同党にとって初の国政選挙となり、百田氏は出馬希望者との面談を経て、近く候補者を決めて公表する見通しで、今後の展開次第では島根1区以上の「野党乱立」となる可能性がある。
長崎3区は自民内に「不戦敗」論も
一方、残る長崎3区は「他の2補選と状況を異にする」(自民選対)。自民裏金事件で立件され、自民党を離党したうえで議員辞職した谷川氏の後任を決める補選となるが、自民党内には「主戦論」と「不戦敗論」が交錯している。
というのも、すでに決まっている衆院選挙区の「10増10減」で、次期総選挙から同県内の選挙区は1減となる。しかも、今回補選となる3区は新2区と新3区に分かれるため、「補選で当選しても、次期衆院選で新たな選挙区から立候補できる可能性は低い」(自民選対)とみられているからだ。
自民県連幹部も「自民の候補擁立には大義がない」と語るなど県連内には「不戦敗論」がくすぶる。その一方で「(逆風でも)立候補すること自体がみそぎだ」との「主戦論」も多く、自民内の調整は難航必至。これに対し立憲はすでに同区を地元とする衆院議員=比例九州=の擁立を決定。さらに維新も2月6日、新人を擁立する方針を固め、近く正式発表する段取りだ。
こうした状況から、永田町では「3補選とも野党乱立なら自民の漁夫の利による勝利もあり得る。要は、4月以降の政局展開次第」(選挙アナリスト)との見方がある。ただ、7日の衆院予算委基本的質疑でも岸田首相は野党の追及に防戦一方で、しかも“論点外し”の答弁が目立つことから「今後も国民の岸田批判は強まるばかりで、楽観論などあり得ない」(自民長老)との厳しい声も広がる。
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