自民に代わって選挙戦を主導した岡田克也・立憲幹事長は5日、「自民はほとんど動けなかった。やはり自民に対する逆風はあると思う」と思わざる辛勝に肩を落とした。対照的に、敗北した福山氏は「政治に対する市民の不満がマグマのようにたまっていた。ここまで肉薄できたのは市民の勝利だ」と胸を張った。
両市長選結果の最大の特徴は、投票率が上がらなければ有利となるはずの組織票を持つ自公支援候補が、保守層が敵視するはずの共産系候補に惨敗や苦戦するという「これまでにない戦いの構図」となったことだ。特に出口調査などでの無党派層の支持動向をみると「自民支持の激減」は明らか。だからこそ、4・28統一補選への自民の危機感が広がるのだ。
「4・28補選」は「自公VS乱立野党」の構図に
その統一補選だが、現状では細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、柿沢未途前法務副大臣の議員辞職に伴う東京15区、裏金事件で立件された谷川弥一前衆院議員の議員辞職に伴う長崎3区の3か所となる見通し。この3補選で自民の司令塔となる茂木敏充幹事長は2月1日のBSフジ「プライムニュース」で「2つ不戦敗はありえない」として最低でも2つの補選での候補者擁立を明言した。
まず島根1区補選は、安倍派前会長の細田博之前衆院議長の死去に伴うもので、自民党島根県連は1月16日、同補選に新人で元財務官僚を擁立する方針を決めた。これに対し、立憲民主は同選挙区で比例復活した衆院議員を、さらに共産党も独自候補をそれぞれ擁立することを決めており、与野党対決の構図となるのは確実だ。
そもそも故細田氏については、自民の裏金事件を巡って「安倍派会長として直接関与した」(司法関係者)との指摘もあり、同補選の自民新人候補も「苦戦必至」との見方が少なくない。ただ、次期衆院選で立憲との野党第1党争いを目指す維新も独自候補擁立の構えで、「野党乱立となれば、公明の支援も受ける自民が優位」(選挙アナリスト)との声も出始めている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら