日野自動車が中国合弁の出資比率引き下げの背景 長期低迷の脱却目指し、広汽集団が経営権取得

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広汽日野は「高級商用車」のイメージで市場開拓を図ったが、思惑が外れ長期低迷が続いていた(写真は同社ウェブサイトより)

中国の国有自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)が、経営不振に陥っていた外資との合弁会社のリストラを進めている。

同社は1月24日、日本の日野自動車との合弁会社で大型トラックを生産・販売する「広汽日野」の出資構成を変更すると発表した。広汽集団と日野自動車は広汽日野に50%ずつ出資していたが、日野自動車が(45.17%相当の持ち株を売却して)出資比率を4.83%に引き下げる。

広汽集団は、日野自動車から広汽日野の39.72%相当の株式を買い取り、出資比率を89.72%に高めて経営権を獲得する。残り5.45%相当の株式は、新設の従業員持ち株会に譲渡される。

出資構成の変更に伴う株式の譲渡価格は合計約3400万元(約7億721万円)。さらに、広汽集団、日野自動車、従業員持ち株会の3者は出資構成変更後の持ち分に応じて、広汽日野が実施する約7億元(約146億円)の増資を引き受けるとしている。

「高級商用車」受け入れられず

広汽日野の設立は2007年。外資側の株主である日野自動車は、日本のトヨタ自動車の子会社だ。日野自動車は「高級商用車」のイメージを打ち出して中国市場の開拓を試みたが、トラックユーザーの支持を得られず、広汽日野の業績は長期低迷が続いていた。

(訳注:日野自動車は2024年中に三菱ふそうトラック・バスとの経営統合を予定しており、その後はトヨタの連結子会社から外れる)

2021年頃には、広汽日野の販売台数は月間100台余りにまで落ち込んでいた。広汽集団は同年11月から広汽日野の販売台数の公表を停止。広汽日野が含まれる広汽集団の商用車カテゴリーで見ると、2022年の販売台数は前年比78%減の600台、2023年は同7%減の560台という状況だった。

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