ダイソー、「120円ショップ」にはならない深い戦略 都心で大量出店、「300円業態」生みの苦しみ

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――スタンダードプロダクツの中心価格帯は300円です。ダイソーと比べて、価値の違いはどのくらいあるのでしょうか?

地域産品を多く扱い、ダイソーとは違う世界観を打ち出している(写真:大創産業)

とても難しい。全社売上高の95%がダイソーだから、同じ300円商品で比べてもバイイングパワーが違いすぎる。ダイソーが強すぎて、バイヤーは苦しんでいる。

価値はお客さんが判断することだが、必ず消費者目線で見るようにしている。今はまだ生みの苦しみの段階だ。

――円安が続いています。100円商品だけをそろえるのは厳しいですか?

スタンダードプロダクツについては、2020年から準備をしてきたので円安を意識したブランドではない。たまたまタイミングが重なっただけだ。

ダイソーについては、100円でスリッパは扱えなくなった。(調理器具などの)品質にも限界がきている。お客様のニーズに応えきれないものもあるので、そうした品物は見直している。

日本では100円から逃げることはない

――アメリカでは「1ドルショップ」に限界が来て、価格帯が柔軟になっています。日本でも値上げは考えませんか?

ダイソーのアメリカ事業では地域によって1.75ドルや1.99ドルに見直している。アメリカでは価格を変えても(売り上げに)影響はなく、ブラジルでも物価変動に合わせて値上げしている。

でも日本では100円から逃げることはない。仕様変更と価格帯を広げる値上げにとどめて、120円ショップになることはない。100円商品の比率が、従来の85%から65%になることはあるかもしれないが。クリティカルラインを守りながら、100円以外の商品については市場の半額以下を基準にそろえている。

――仕様変更で消えていく商品の棚を埋めるのも大変そうです。商品構成で変化は出てきていますか。

消えた商品はたくさんあるが、SKU(商品種類)が7万6000あるから気づかない。バイヤーは約40人。最近は釣りやキャンプ、推し活グッズなどを増やしている。

商品を出すか出さないかの最終決定は現場に任せているが、すぐに既存店売上高に反応するので怖い。バイヤーは努力しながら、いつも勝負している。

100円で売れないものは、半額に値引きしても売れない。私は昔、スーパーでバイヤーをしていた。大創産業に入社した当初は前職の感覚で余った在庫を値引きさせていたが全然ダメだった。ただのゴミ溜めになってしまう。

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