「あの商品が消えた」、空前の円安で100均に異変 生き残りを懸けて「高額商品」がじわりと増加
「まるで無印みたい」
東京・銀座の「マロニエゲート銀座2」。ユニクロやディスカウントスーパーのオーケーが入居するこのビルの6階フロアを占拠するのが、100円ショップ最大手の大創産業だ。同フロアで、「DAISO」「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」「THREEPPY(スリーピー)」の3業態を展開する。
300円商品を中心に扱うStandard Productsは、2021年の立ち上げ以降、シンプルでおしゃれな生活用品を豊富にそろえていることで人気を集める。「無印良品みたいな300円ショップ」とも呼ばれ、11月末には93店舗まで拡大。THREEPPYも同じく300円業態で、こちらは女性向けのかわいい雑貨が中心だ。
「マロニエゲート銀座店を皮切りに、エリアの客層や立地に合わせてDAISO、Standard Products、THREEPPYのブランドを組み合わせた出店を拡大している」(大創産業)と自信を見せる。
大創産業はDAISOを主力に国内外で5247店を展開するが、このうち1割以上が300円商品を中心とした高価格帯業態が占める。100円ショップのDAISOでも2003年から、300円や500円などの高価格帯商品の取り扱いを始め、現在は商品構成の1割強に達するという。
今の為替では廃盤商品が増える
庶民の味方の100円ショップで今、「100円より高い商品」を扱う動きが広まっている。
「今の為替水準では、販売できない商品が増えてくる」。そう語るのは、業界4位・ワッツの平岡史生社長だ。
100円ショップでは多くの生活必需品を扱うが、その大半は海外生産。そのため定番商品でも、円安に伴うコスト高の影響で廃盤となる商品が出てきている。
たとえばプラスチック製のバケツ。1ドル100円から150円へ円安が進行すると、単純に仕入れ値は5割上昇する。この差額を仕様変更で埋めようとすると、プラスチックを薄くして、強度を犠牲にする必要が出てくる。あるいは雑巾を絞っても水がこぼれてしまうほど、バケツのサイズを小さくしなければ採算割れだ。
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