「あの商品が消えた」、空前の円安で100均に異変 生き残りを懸けて「高額商品」がじわりと増加

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最大手の大創産業を筆頭に、高単価品を広げる100円ショップ各社だが、2位のセリアだけは一線を画す。「100円商品」にこだわる方針を明言し、高単価品を扱っていない。

「1ドル80円から100円、120円へと円安が進んだときも、周囲から心配されたが乗り切ってきた。150円でも商品仕様や品ぞろえを見直していく」(セリアの河合映治社長)

独自の業務効率化システムを得意とし、利益率の高さを誇るセリアも業績低迷にあえぐ。2022年3月期に209億円だった営業利益は、2023年3月期に154億円、今2024年3月期は129億円と右肩下がりを見込む。

もともとセリアはおしゃれな雑貨などの品ぞろえに定評があり、近年はハンドクラフト商品など、新たな100円の価値を訴求する商品開発にも力を入れている。もちろん他社も100円の価値を最大限追求しているが、セリアは「100円業態」にこだわり続けることで、差別化する戦略を選んだ。

新規出店のオファーは絶えず

空前の円安に加え、人件費上昇などの逆風が吹き荒れる100円業態。それでも新規出店のオファーが絶えることはない。

大創産業のDAISOとTHREEPPY
大創産業のDAISOと、300円業態のTHREEPPY。大創産業の国内店舗約5200店のうち、1割以上を高価格帯業態が占める(写真:大創産業)

一等地の東京・銀座には冒頭の大創産業だけでなく、セリアもイグジッドメルサ銀座に店舗を構える。郊外の大型ショッピングモールには必ずといっていいほど入居し、食品スーパーや郊外のホームセンターにも出店を増やしている。

物価高で消費者が節約志向を高める中、100円ショップは「買い物レジャー」を楽しめる数少ない場所となっている。デベロッパーなどにとっても、その集客力は魅力的だ。

セリアのように「100円業態」にこだわり続けるのか、それとも「100円を軸に低価格商品を取りそろえる業態」に脱皮するのか。急激な円安は、100円ショップに難しい選択を突きつけている。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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