ファナック--情報を開示しない“優良”企業
なぜ、上場会社は業績等の情報を公開しなければならないのでしょうか。それは広く一般に株主を募っているからです。会社の情報を公開したくなければ、未上場会社のままでいればいいだけのこと。
単独決算主体から子会社も含む連結決算優先への開示基準の移行、セグメント情報や四半期決算の開示義務化など、株式を上場している会社の情報はバブル崩壊後、格段に増えました。いま、多くの会社が独立したIR(投資家向け広報)部門を設け、情報開示に力を入れています。
しかし、例外はつきもの。たとえば、「会社四季報」の最新号(3集)で「全媒体平等対応理由に個別取材不可のうえ、11年3月期決算説明会中止。(後略)」と書かざるをえない会社がありました。工作機械用NC(数値制御)装置で世界首位のファナックです。
業績は今期最終利益が過去最高を更新(四季報予想)、財務も前期末総資産1兆円余の半分以上が現預金と超優良。当然、市場でも人気の銘柄で時価総額ランキングではトップ10級です。
業績がよければ株価はついてくると考えたのか、開示姿勢は世の中と逆行してきました。決算の個別取材を受けず、最低限の会社説明会も開きません。日本語のホームページも閉鎖してしまいました。まさに、知らしむべからず。
「頂門の一針」という言葉があります。足元の業績が良くても、小さなところからほころびが出てくるのは、歴史の常です。
(「会社四季報」編集部 写真は稲葉善治社長)
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※この記事は朝日新聞毎週月曜夕刊掲載の「東洋経済の眼」を東洋経済オンラインの読者向けに再編集したものです。
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