政治的な目的を達成するために、言葉が巧みに操作されることがある。
たとえば人間の記憶には、最初に提示されたものをよく覚えているという「初頭効果」や、意思決定において最新の情報や出来事の影響を受けやすいという「新近効果」という傾向が確認されている。
最初や最後に提示された情報のほうが、真ん中に提示された情報よりも印象に残りやすいということだ。
スピーチの名手が使う方法
他には「頭韻法」と呼ばれるテクニックもある。頭韻法とは、隣接する単語や文を同じ音で始めるという手法であり、こうすると人々の印象に残りやすいという効果がある。
たとえば、バイデン政権の「Build Back Better Budget (アメリカをよりよく再建するための予算案)」や、クリントン政権の「Save Social Security First! (社会保障を守ることが第一だ!)」というスローガンなどが頭韻法だ。
他にも、ある物事を表現するのに、それと強い関連がある物事の名前で置き換える「換喩」というテクニックもある。
たとえば、アメリカ政府の最高執行機関を「ホワイトハウス」と呼んだり、金融セクターを「ウォール街」と呼んだりするのが換喩だ。換喩もまた、民衆の意見を操作する目的で利用される。