AIなどテクノロジーの力を借りれば、楽に翻訳ができるようになった今、あえて人間が外国語を学び、自らの言葉として習得する必要はあるのだろうか。そう疑問を持っている人もいるでしょう。
しかしアメリカ・ノースウエスタン大学教授で、心理言語学者のビオリカ・マリアンさんは、複数の言語を話す能力によって創造性の扉が開かれ、脳の健康や認知をコントロールする力も手に入る、と語ります。
ビオリカさんの著書『言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?』から一部を抜粋し、「外国語を学ぶと脳に何が起きるのか」最新研究をもとにした記事をお届けします。
「バイリンガル」であるかが健康長寿に貢献?
人類が追い求める聖杯といえば、永遠の若さを与えてくれる不老不死の薬だろう。この聖杯を探す旅は、聖書と同じくらいの歴史がある。そして現在、私たちは「ブルーゾーン」と呼ばれる場所を研究している。
ブルーゾーンとは、健康長寿の人が多く暮らす地域のことだ。地球上の他の場所に比べて平均寿命が長く、100歳を超えている人の割合も高い。
研究の目的は、高齢になっても健康を保ち、寿命を延ばす秘訣を探ることだ。たしかに「聖杯」はまだ見つかっていないが、健康長寿に貢献していると考えられる要素ならいくつかわかってきた。
特に大きな要素は、運動、栄養教育だ。そしてバイリンガルであることも、加齢に伴う認知力の低下を抑える働きがあることがわかってきた。
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