逆に、成績が悪ければ今後もあまり期待できない。つまり、過去の成績は合否を判断する重要な指標だ。もちろん、勉強がよくできる学生が卒業後にパッとしなかったり、逆にそれまでパッとしなかった学生がぐんと伸びたりもする。
しかし、投資は確率のゲームだ。失敗をできるだけ減らすことが、成功の確率を高めることになる。つまり、リスクを減らすことが成功への近道なのだ。投資において冒険とは投機のことだ。利益が出ていなかったり赤字が予想されたりする会社をあぶりだし、リスクを減らすためにも、財務諸表を勉強し、理解することが絶対に必要だ。
自分で会社を経営していると、成長初期には利益よりも売上高が重要であり、その後は当期純益よりも営業利益のほうが重要であり、現金フローがよくないと黒字倒産する恐れもあるということがわかってくる。
財務諸表を理解して読み込めば見えてくること
財務諸表には、これらの情報がすべて入っている。当期純益は不動産の売却や他の投資によって増やすことができるが、営業利益の減少は本業の成績が振るわず資本を食い潰している状態だと解釈できる。
資本は多くても現金保有高ばかりが多くて事業投資が少なければ、これも経営状態を疑うべきだし、逆に成長が速く売上高が増加しているのに収益が伸びていないなら、急成長する可能性もある。こうした会社は市場でシェアを伸ばして利益構造を改善すれば、市場を独占する強者になるからだ。これらすべてのことが、財務諸表を理解して読み込めば見えてくるのだ。
結論から言うとこうだ。
私は身近にいる専門家が、その職業的知識を彼ら自身のために使わないケースを多く見てきた。甲状腺の専門医が甲状腺疾患にかかったり、弁護士なのに詐欺に遭ったり、会計士なのに世間の噂を信じて投資したりといった例はよくある。
会計士が一般の投資者よりも投資で好成績を収めているという話は聞いたことがない。医者が一般人よりも健康だという調査もないし、弁護士に世渡りがうまい人が多いという保証もない。
しかし、自分たちが望みさえすれば、医者は最も健康になれるはずだし、弁護士は最も公正な待遇を受けられる。会計士だって、最も投資で成功できるはずだ。
なのに、一般人とあまり変わらないのは、投資に専門知識が必要ないからではなく、投資のタイミングと心理については、会計帳簿を見ただけではわからないからだ。
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