元Google人事"仕事力UP"会話のNG&Goodポイント 「エンジニアは本来とても雑談が得意なはず」

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ーー「雑談が苦手」というエンジニアは多いように思うのですが、なぜ苦手意識を持ちやすいのでしょうか。

それは、エンジニアの思考パターンに一因があると思います。あくまで一般的な傾向ですが、営業や人事などの職種を選ぶ人は、人に対する共感性が高いケースが多い。一方でエンジニアになる人は、論理思考が強い傾向にあります。

そういった傾向の人材は、黙々と仕事に取り組むことが得意です。チーム全体が同様の性質になりやすいため、ひょっとすると、会社に来ても「おはようございます」「お疲れさまでした」ぐらいしか話さない場合もあるかもしれません。

このような環境では、会話の練習ができませんよね。普段から人と話すことが少ないと、何を話せば相手が喜ぶのか、何を話すと相手が不快に感じるのかを理解できないので、いざ必要に迫られて話したときに雑談がぎこちなくなってしまうのです。

ーーちなみに海外のエンジニアも、雑談には苦手意識を抱いているものなのでしょうか?

そういう方もいるとは思いますが、日本に比べると少ないでしょう。というのも海外の有名大学では、エンジニアを目指している人でも「ITの勉強だけ」をするわけではないからです。

グローバルで評価を得るためには、深い会話ができる必要があります。そのため、教養の一環として対話の練習が行われているのです。

一方、日本の場合はあまり深い会話をしなくても業務が成立するケースが多いですよね。それは、日本が持つ美徳の一つ。日本人が相手のことにあまり深く立ち入らないのは、相手を尊重しているからでしょう。

この会話に対するスタンスの違いが、雑談に対する苦手意識の違いにつながっているのかもしれません。

本当に優れた雑談とは、相手に落ち着きを与える

ただ私は、エンジニアという職業の方々は本来とても雑談が得意なはずだと思っています。

ーーそれはなぜですか?

エンジニアとして働く方々は、平均的にIQが高い傾向が見られます。そしてエンジニアが作るプログラムとは、人間の思考の一つの形に他なりません。言い換えると、エンジニアはプログラミングを通じて深い対話を行っているのです。

「プログラミングと人の思考は別物」「モニター上だからできること」と思う方もいるかもしれませんが、その高度なスキルは、アナログな会話でも十分に生かせるものに違いありません。

雑談というと、「おしゃべりが上手な人」がするイメージをしがちですが、何も大きな声で周りをまきこんでいくことがベストとは限りません。本当に優れた雑談とは、相手に落ち着きを与えるものです。

論理思考を生かしてしっかりと傾聴すれば、相手は「自分はこういうことを大切にしていたんだ」と思考を整えることができます。そういう聞き手がチームにいると、チーム全体の雰囲気が良くなり、パフォーマンスの全体的な向上につながるでしょう。

エンジニアの論理思考は、相手に「落ち着き」を与える雑談をする際に役立つものだと思いますよ。

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