蜜月終焉、フィリピン正・副大統領間で大抗争勃発 マルコスとドゥテルテ、大統領選から一転、対立激化

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セバスチャン氏の「父を牢獄に入れたがっている」という発言とあわせ、ドゥテルテ陣営がICCの捜査の行方と現政権の対応に神経をとがらせていることは間違いない。

退役軍人らの不穏な動き

ボンボン氏は1月29日、ベトナムを公式訪問するため専用機に乗り込む前に報道陣に囲まれ、前大統領から前夜、麻薬中毒者と名指しされたことについて聞かれた。「前大統領は鎮痛剤フェンタニルを使用している。言動はその影響だろう。主治医がきちんとケアすることを願う」と答えた。

「ユニチーム」の亀裂が深まるなか、2023年後半からドゥテルテ親子を支持する退役軍人らの不穏な動きが表面化している。

現政権に不満を持つ軍や警察の元高官らが会合を持ったとの情報が流れたり、元軍人が「私の大統領はサラ」と発言する動画が投稿されたり。

国軍トップのロメオ・ブラウナー参謀総長は「国軍の現政権支持は揺るがない」と繰り返し、前大統領も「なぜ私が現政権の不安定化を画策しなければならないのか」と否定している。

しかしながらフィリピンには過去、軍人らが武力で政権を転覆しようと試みる事件が繰り返された歴史がある。2028年の次の大統領選へ向けて長い駆け引きが続きそうだ。

柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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しばた・なおじ

ジャーナリスト。元朝日新聞記者(論説副主幹、アジア総局長、マニラ支局長、大阪・東京社会部デスクなどを歴任)、近畿大学教授などを経る。著書に「ルポ フィリピンの民主主義―ピープルパワー革命からの40年」、「バンコク燃ゆ タックシンと『タイ式』民主主義」。

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