あれは友達との旅行帰りに立ち寄った道の駅。積み重なる高原キャベツに心を奪われ、「美味しそう!」と手を伸ばした記憶がよみがえります。
そもそもキャベツ丸ごとなどひとりでは相当頑張らないと食べきれないのはちょっと考えればわかることですが、あまりの新鮮さに負けてしまう自分がいます。
「千切りでコールスローとか、ロールキャベツにしてもいいね!」と想像したり、「試作レシピに使ってもいいわけだし、きっと使いきれるはず」「いっそのこと、ごはんの代わりにたくさん食べればダイエットにもなる」と妄想が爆走します。
「ホントに使いきれる? そもそも重たいのを持って帰れる?」などという助言を友達は決してしません。それどころか、「美味しそうだもんね、新鮮だし安いもんね」と調子のいいことを言います。
当然悪意はなく、そもそも我々世代の頭は考えるより先に自動的に相槌を打ってしまうシステムになっているのです。この場合に限らず、だいたいおばさんというものは人の話を聞いていないわりに何でも構わず勧めてきます(自分含む)。
このように女友達とは絶対ネガティブな意見を言わず、じゃんじゃん買わせる生き物です。
かの高原キャベツも、あのときは食べきれると思っていたのです。だからこそ、近所のスーパーでも買えるものを遠路はるばる連れ帰ったのですが、しかしそれは完全に出来心でした。
道の駅でテンションが上がりきった我が姿が走馬灯のようによみがえり、目の前には断面が変色した例のキャベツがあるのが現実です。
そうです。地場産の新鮮野菜がお安く並ぶ道の駅や産直市場は、我々にとっては危険地帯でもあるのです。
思わず買い込んでしまうのは多分、日頃のストレス発散なんでしょうね。
とりあえず「ゆでる」
実際は4分の1カットのキャベツでも持て余す今日この頃です。「何を作ろうか」と考えるのも、実際作るのも嫌になります。
そんなときは「とりあえずゆでる」。包丁でざく切りして、ゆでてしまいます。
塩もみや漬物などの簡単な副菜を作ってから使いまわしていくのにもそれなりに頭を使いますから、ここは無の境地でただ切ってゆでる。単純にカサが減れば保存も楽になります。
そして生の状態よりも少しだけ劣化寿命を延ばしたことで、一瞬だけ心の平和が訪れます。
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