有料化も検討「SA/PAの駐車マス」巡る熱い議論 2024年問題に向けた高速道路の駐車マス対策

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後退駐車にすると駐車車両前方が通路に面するため、通路に停めるとクルマの通路を塞ぐことになり停めづらくなるという通路(枠外)駐車防止対策にもなるし、また前進発車のため、発車しやすく接触事故の低減を図ることができるメリットもある。

2024年問題でSA/PA「原点回帰」を

駐車マスの議論は近年、テーマパーク化、観光目的化が著しいSA/PAの「本来の役割は何か」を突きつけているように思える。SA/PAの本来の目的は、もちろん「休憩するための施設」だ。

高速道路の長距離走行は疲労や眠気をもたらす。そこで、疲労や眠気を感じた場合に、体を(もちろんクルマも)休めるために設けられた施設である。いうまでもなく、ただ駐車スペースがあればよいわけではなく、付随的にトイレも必要だし、喉の渇きを潤すために飲料の自動販売機も必要だろう。

そんな本来の目的を忘れ、近年のSA/PAのグルメ競争は、付随的な目的が「主」になってしまう「本末転倒」状態となっている。しかし、「ドライバーの休憩施設」という最大の目的が十分果たせないようでは、SA/PAの存在意義は薄い。

それ自体を楽しむ施設としてのSAも魅力的ではあるが(写真:gandhi / PIXTA)
それ自体を楽しむ施設としてのSAも魅力的ではあるが…(写真:gandhi / PIXTA)

単に休憩してもらうよりも、利用者に店舗でお金を使ってもらったほうがNEXCOグループとしてはありがたいのかもしれないが、やはり休憩施設という原点に戻るべきであろうし、昨今の流れはその原点回帰に沿っていると考えることもできる。

また、大型トラックの場合、ジャストインタイムの納入のためSA/PAで時間調整をしているケースも多いが、本来、時間調整のためのスペースは到着地の企業や店舗が確保すべきものだ。この構造も変えていかなければ、問題の完全な解決にはつながらないだろう。

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高速道路のヘビーユーザーに話を聞くと、グルメで有名な常時混雑するSA/PAよりも、トイレと自販機と簡単な軽食コーナーがあるだけの、混雑とは無縁で駐車マスの心配をしなくてもいいSA/PAのほうが安心できるという声をよく聞く。

今年は、まさに「2024年問題」の当年でもあり、こうした「原点回帰」が明確になり、ドライバーにとってSA/PAの本来の役目を果たす節目の年であってほしい。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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