ホンダ新EV商品群「ゼロ」に問われるブランド力 その成否が命運左右も、高級「アキュラ」は苦戦

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ホンダの看板車種は「アコード」や「シビック」であり、現在の世界的な売れ筋はSUV(スポーツ用多目的車)「ヴェゼル」や「CR-V」、「ZR-V」だ。いずれも大衆車の位置づけで、欧米の高級車メーカーと比べて販売価格帯が低い。母国市場である日本では、軽自動車「N-BOX」が圧倒的に売れている。

ホンダの4輪事業の営業利益率は長く1~2%を推移してきた。直近では4.7%だが、それでも高いとはいえない。生産コストがかさむEVで利益を稼いでいくには、「ある程度高価格帯から攻めざるをえない」(ホンダ幹部)。

念頭にあるのがアメリカのテスラだ。イーロン・マスクCEOのカリスマ性が裏打ちする先進性が世界の流行に敏感な人たちの支持を集め、1000万円を超える「モデルX」をはじめ、500万円以上のEV計4車種で2023年の販売台数は100万台を超えた。利益を出すのが難しいとされるEVの専業でありながら、テスラは営業利益率7~10%を実現している。

大衆車のイメージが強いホンダとは別のゼロシリーズという新たなブランドとすることで、高価格帯のEVを売りやすくする狙いがある。

高級ブランド「アキュラ」は苦戦

ただ、ホンダの思惑通り進むかは不透明だ。

トヨタに「レクサス」があるように、ホンダも高級ブランド「アキュラ」を展開しているが、販売台数は約16万1899台(2023年)にとどまる。2023年1~11月に74万1112台販売したレクサスに比べるまでもなく、成功しているとはいいがたい。中国では2023年1月、販売不振を理由に合弁会社・広汽ホンダがアキュラブランドの生産・販売を終了した。

ホンダはゼロシリーズの具体的な価格帯や販売台数、生産計画についてまだ明らかにしていない。「投資の方向性を決めるためにも中長期の戦略を早く示してほしい」(ホンダ系部品メーカー首脳)との声が多く上がる。

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