ホンダ新EV商品群「ゼロ」に問われるブランド力 その成否が命運左右も、高級「アキュラ」は苦戦
ゼロシリーズの特徴の1つとして、満充電での航続距離を300マイル(480km)以上と控えめに設定している点が挙げられる。
トヨタ自動車が2026年に投入予定の高級ブランド「レクサス」の次世代EVは、航続可能距離が1000kmに達する計画。日産自動車の旗艦EV「アリア」でも約600kmを確保している。こうした航続距離の長さを競う流れには背を向ける。
この点について、三部社長は「軽く、軽快に走る車にするというコンセプトだ。(充電の)チャージングポイントが増えてくれば、1000キロ走らなくても、短時間で十分充電できるようになり、むやみやたらに電池を積む必要がない」と強調する。
電池は希少金属を多く使うことから生産・調達コストがかさみやすく、一般的にEVにおける生産コストの3割を占めるとされる。EVでガソリン車やHV(ハイブリッド車)と同等の航続距離を確保しようと電池の搭載量を増やせば、その分コストがかさみ、販売価格も上昇する。
先進技術の搭載で狙うは高付加価値路線
ホンダは、ゼロシリーズではむやみに航続距離を追求せずコストを抑える方針。ただし、だからといって安売りに商機を見いだすつもりもない。前述したような先進技術を搭載することで高付加価値路線を歩む。
時期は未定だが、サルーンやスペースハブ以外でも大型車や小型車など幅広くラインナップをそろえる見通し。2020年代後半以降、EVはゼロシリーズに徐々に集約する方針で、従来のガソリン車モデルと比べて販売価格を引き上げたい考えだ。