北朝鮮「不気味すぎる挑発行為」が意味する危機 「南」と呼んでいた韓国を敵国扱いするように

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2010年11月、北朝鮮軍が延坪島をターゲットに約170発の放射砲を発射し、そのうち約80発が島に着弾。韓国軍と民間人、合わせて4人が死亡し、19人が重軽傷を負った韓国軍も約80発の射撃で応酬した。当時の韓国政府が報復攻撃を計画し、全面戦争に繋がりかねない一触即発の状況を生んだ。今も延坪島には砲撃を受け、壊れた民家が保存されている。

延坪島
(写真:筆者撮影)

「朝鮮半島の火薬庫」と呼ばれるように

後を絶たない軍事衝突で、延坪島やNLL付近は「朝鮮半島の火薬庫」と呼ばれるように。北朝鮮はここへ向け連日砲弾を打ち込んでおり、衝突も辞さない姿勢の示している。

こうした衝突を避けるため、韓国と北朝鮮は2018年、NLL付近に砲弾の射撃や海上訓練を禁止する「緩衝水域」を設定する「軍事合意」に辿り着いていたが、今回北朝鮮が発射した砲弾はこの「緩衝水域」に着弾したとみられる。

韓国政府は5日、北朝鮮の砲弾射撃を軍事合意違反と規定し「北朝鮮の射撃は朝鮮半島の平和を脅かし、緊張を高める挑発行為だ」と強調したが、北朝鮮は6日もNLL付近で砲弾の射撃を実施し、対決姿勢を鮮明にしている。

2018年軍事合意以後も北朝鮮は度々「緩衝水域」に砲弾射撃を実施したことがある。しかし、韓国の複数の北朝鮮専門家は、「今回の砲弾射撃が、北朝鮮が対韓国政策の『転換』を表明した直後で行われたことに注目する必要がある」と強調する。

実は北朝鮮が砲撃を始める直前、南北関係において気になるニュースが飛び込んでいた。

北朝鮮の国営通信社、朝鮮中央通信(2023年12月31日付)は、金正恩総書記が「韓国との関係はもはや同族ではなく敵対的な二国間関係、交戦国の関係として完全に固定化された」と述べたと報じた。この発言について、多くの専門家やメディアは、北朝鮮の対韓国政策の根本的な転換であると分析した。

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