北朝鮮「不気味すぎる挑発行為」が意味する危機 「南」と呼んでいた韓国を敵国扱いするように

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「砲弾の音は聞こえず、北朝鮮が砲弾射撃をしたことは知らなかった。昼過ぎ、突然避難命令が出された。今はすでに防空壕に避難している。北朝鮮の射撃は終わったけど、韓国軍が対抗装置を取るから、しばらく防空壕にとどまるよう指示があった。

1日2回ある船も運休になったし、漁船のほとんどが操業に出ているから、何かあった時に島から逃げる方法がない。孤立状態だ。2010年の砲撃を皆覚えているから皆怖がっている。幸い被害はない」(延坪島で民宿を経営する金さん)

素足で防空壕に逃げ込んだ住民も

避難を呼びかける防災サイレンが鳴ったのは、12時すぎのことだ。給食中の園児や生徒70人が急いで防空壕に避難、裸足で防空壕に逃げ込んだ住民もいたという証言も伝えられ、当時の緊迫した状況がうかがえる。

延坪島住民の約30%(約2800人)が3時間の緊急避難を余儀なくされた。延坪島には、北朝鮮の攻撃に備え島の各地に防空壕が設置されている。非常食量や発電機など、有事に備えた設備を整えている島だ。

北朝鮮は5日に続き6日には、約60発、7日には約90発の砲弾射撃を行った。新年、北朝鮮は北方限界線(NLL)付近で砲弾の射撃を繰り返していて、緊張が高まっている。

延坪島からは、金正恩総書記が2017年、訪問した島(距離約7キロメートル)が肉眼で確認できる。延坪島は北朝鮮と隣り合わせの島だ。南北の主な軍事衝突は、延坪島付近で発生している。その背景には、いまだに定まっていない「海上の軍事境界線」をめぐる対立がある。

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