日銀「マイナス金利解除」その後に起こる7変化 そのときが来たら我々の生活はどう変わるのか

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3.企業の設備投資にマイナスになる

企業は、設備投資等に必要となる資金を銀行から融資を受けて、設備投資に踏み切るわけだが、ローン金利が上昇するため、過去の設備投資で融資を受けたローン返済の負担が高くなる。金融引き締め政策への転換は、企業側の金利負担が高くなることは否定できない。経済全体の景気にも悪影響が出てくるはずだ。

4.株式市場全体は下落するものの、銀行など一部の業種にはプラス

金利の上昇=金融引き締めは、株式市場にとってマイナスに作用する。せっかく上昇トレンドに入った日本株に水を差すことになるかもしれない。その反面、銀行などの金融関連銘柄は上昇する可能性がある。

5.円高が進み、再びデフレに逆戻りする可能性が出てくる

あまりに急激な円高が進んでしまうと、再び輸入物価が下落し、消費者物価指数が再び2%を割り込み、デフレに逆戻りする可能性が出てくる。そうなれば、再び金融緩和に戻らなければならなくなり、ゼロ金利脱却不能になってしまう可能性がある。

6.日本銀行のバランスシートが悪化し、円安圧力が高まる

金融緩和時代に大量に購入した日本国債は金利の上昇とともに、日銀にとっては逆ザヤとなる。日銀はバランスシートを常に公開しているために、財務状況の悪化は即座に公開され、日本銀行券=円に対して海外から厳しい目で見られる可能性がある。場合によっては、国際通貨としての円の地位が下落し、円安がさらに進む可能性がある。

7.日本国債格下げの可能性が高まる

日本国債を発行する日本政府にとって金利負担が増え、現在でも年間25兆円超の国債費として、金利や償還費を使っている状況は、格付け会社の格下げ圧力にさらされる。格付け会社が日本国債の格付けを現在の「シングルA」から「トリプルB」に下げてくれば、日本に本社がある銀行や企業も、揃って格下げとなり、海外での資金調達コストが上昇することになる。日本政府のデフォルト(債務不履行)懸念も出てくるはずだ。

ゼロ金利から脱出できないシナリオも

これまでの経済危機は必ずと言っていいほど、為替や株式市場の暴落などが付きまとう。1929年のアメリカ大恐慌をはじめ、ポンド危機、アジア通貨危機、リーマンショックといった世界全体を揺るがす経済危機はしばしば起こる。最近はAIなどテクノロジーの進歩によって、以前よりも頻繁に起こるようになっている。

日本銀行の政策転換が、世界を揺るがす経済危機を巻き起こす可能性は依然として残っている。そのときに、我々日本国民はどうすれば最小限の被害で済むのか、やはり分散投資しかないのかもしれない。円や日本株の暴落をある程度は織り込んでおくべきだろう。

さらに、心配なのはこのまま日銀が金利の正常化をできずに、政府の言いなりになって日本国債を購入し続けることだ。金融緩和から脱却できないことが今後も続くようだと、さらなる犠牲を払わなくてはならない。そういう意味では、日銀のゼロ金利脱出が長引けば長引くほど、我々は破綻の準備をしなければならないかもしれない。 

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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