日銀「マイナス金利解除」その後に起こる7変化 そのときが来たら我々の生活はどう変わるのか
ブルームバーグも、「ヘッジファンドが円下落に大きな賭け、急進前の12月5日終了週」という見出しで、CMEグループで取引された円の売買高は今年最多の748億ドルに上ったと報道している(12月9日配信)。日銀の動きは、投機筋にとってはやはり儲けのチャンスのひとつであるようだ。
FRBは、前回のFOMC(連邦公開市場委員会)で来年3回の利下げを示唆したが、今後日米金利差は縮小していくことが予想される。今回、植田総裁は出口戦略については明言を避けたものの、2024年1月もしくは4月にも、YCCを中止してマイナス金利の解除に踏み切るのではないか、と専門家の多くも予想している。FRBが利下げを始める前に、日銀が利上げに踏み出さないと、日米の金利差が急激に縮小していくことになる。
そんな状況で、異次元の金融緩和から脱却すれば、大きく円高に振れるかもしれない。急激な円高は日本を再びデフレに戻してしまう可能性が出てくるため、日銀も安易に利上げはできない。賃金の上昇次第では、デフレから緩やかなインフレへと転換できる最後のチャンスになるかもしれないからだ。
いずれにしても、日銀の金融政策変更は日本経済をインフレにも、デフレにもしてしまう可能性がある。10年前、20年前なら、日本国債の発行量も少なく、日銀が抱える国債の金額も少なかった。しかし、莫大な金額が積み上がった日銀の国債保有残高は、一歩間違えれば日銀が大きな含み損を抱え、バランスシートを悪化させて、日本銀行券=円が信用を失い、超円安となって輸入インフレになる可能性は依然として残っている。
預金金利が付き、住宅ローンは厳しくなる?
マーケットの激しい変動を除くと、次に来るのが実体経済への影響だ。実際に、日本経済はどんな影響受けるのか……。また我々の生活はどう変わるのか……。おそらく、次のような変化が考えられる。その変化にどう対応するかが「正常化(金利が付く時代)」への対応法と言っていいだろう。
1.預金金利が上がる
ある程度金利が上昇しないと望み薄だが、わずかでも金利が上昇すれば、若者に代わって大きな金融資産を抱える高齢者が消費の拡大に貢献してくれるかもしれない。もっとも、その一方で株価は下がる。ただ、日本では株式投資をする人が少ないため、圧倒的に多い「預貯金人口」にとってはより大きなメリットが降りかかる。いまや金利を上げたほうが、国民の消費意欲を刺激するかもしれない。
2.住宅ローン金利が上昇する
今回の金融政策転換がなかった原因を、住宅ローンの負担が増えることを懸念したためではないか、と分析する専門家もいたが、いまや7割が変動金利を利用しているのが現実。変動金利でローンを組む人たちにとっては、負担増になる可能性が高い。住宅ローンが高くなることで不動産市場の冷え込みを心配することも大きな懸念材料になる。
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