ヒートショックによる入浴中の事故は高齢者に多く、厚労省の人口動態統計(令和3年)によると、65歳以上の浴槽での「不慮の溺死・溺水」の死亡者数は5097人で、その約9割が家や居住施設内の浴槽での事故だ。なかでも11~2月までの時期に多く救急搬送されている。
「浴槽での溺死者数はこの20年間で2倍くらいに増加しています。人口の高齢化のほか、高齢者の1人暮らしが増えていることも原因だと考えられます」(鳥羽医師)
浴槽での死亡者数の約9割が65歳以上だが、若いから安心、というわけではない。
「健康診断で血圧やコレステロール、血糖値、腎機能の数値が引っかかるような方は動脈硬化が進んでいる可能性があるので、要注意です。また、深酒後の入浴は浴槽で事故が起きやすく、特に1人暮らしの人は危険です」(鳥羽医師)
ヒートショックを防ぐポイント5つ
ヒートショックを起こさないためには、どのような入浴方法がいいのか。鳥羽医師に5つのポイントを挙げてもらった。
入浴後も1時間くらいは血圧が低下した状態なので、水を飲むなどしてゆっくり過ごすのがいいそうだ。
最近はサウナブームで、サウナと水風呂に交互に入る入浴法を実践している人も多い。「整った」感じを楽しんでいるようだが、健康的には大丈夫なのか。
「若くて健康な人なら問題ないと思いますが、健康診断で先ほど述べたような項目が引っかかるような50代以上の人は体に負担の少ない『低温サウナ』のほうが安全でしょう」(鳥羽医師)
(取材・文/中寺暁子)
鳥羽梓弓医師
2006年、千葉大学医学部卒。東京医科歯科大学大学院卒。老人医療センター(現:東京都健康長寿医療センター)にて研修、医員を経て2023年より現職。日本高血圧学会高血圧専門医・指導医、日本循環器学会循環器専門医、日本老年医学会認定老年病専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。
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