ノーベル賞で注目を集めた「体内時計」の研究が進み、「時間」を考慮した栄養学の必要性が提唱されるようになりました。「何を食べるのが健康によいか」ではなく、「いつ食べるのが健康によいか」が注目され調べられるようになったのです。体内時計のリズムに合った食べ方こそ、健康の原点であると考えられ、「時間栄養学」と呼ばれています。
本稿では、東京女子医科大学名誉教授の大塚邦明医師が上梓した『大切なのは「いつ食べるか」でした。』より、「時間栄養学」とはどのようなものか、また「体内時計」に合った生活の工夫をご紹介します。
血圧は基本的に昼に高く、夜に低くなります。夜間(就寝中)の血圧は昼間の血圧に比べ、10~20%低下するのが普通です。
早朝高血圧「モーニングサージ」に注意
異常な血圧変動のパターンとして、早朝に急激な血圧上昇を示す「血圧モーニングサージ」があります。
血圧は覚醒・起床とともに上昇しますが、この上昇が大きすぎることが問題です。
とくに「心臓肥大」や「冠動脈硬化」(心臓の周りを取り囲む血管が硬くもろくなった状態)といった障害がある場合、朝の血圧上昇が大きすぎると、心臓に負荷がかかり、突然死の引き金にもなると考えられています。
このように、血圧は時間をはじめ実にさまざまな要因によって変動しますので、「血圧をいつ測ったのか?」「何が血圧を変化させているのか?」といった時間医学的な視点を抜きに、「140/90㎜Hgを超えたら高血圧」などと一律に診断することには無理があるといえます。
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