血圧とは、血液が血管の壁を押す力のこと。血管が収縮したり、血液の量が多くなったりすると血圧は上がる。
さらに「寒い時季特有の生活習慣も、血圧の上昇に影響する」と鳥羽医師。その1つが塩分摂取だという。
「寒くなると鍋物を食べる機会が増えたり、温かいラーメンやうどんの汁まで飲んだりしやすい。実際、(寒い地方である)東北地方に住む人は、塩分摂取量が多いというデータがあります。確かに塩分摂取によって血圧が上がると、体の末端まで血液が送られ、体が温まります。寒いと塩分を欲するのは、体を温めるという意味では理にかなっているのです」
また、冬は活動量が減って運動不足になりやすいことも、血圧が上がる一因になる。
運動直後は血圧が上がるが、それは一時的なもので、習慣的な有酸素運動は血圧を下げることが明らかになっている。その理由として、ウォーキングなど一定のリズムを刻む運動は、交感神経の活性を抑えることなどが指摘されている。
夏に健康診断を受ける人の落とし穴
実際には、1年のうちどれくらいの時期から血圧は上がりやすいのか。
「高血圧で定期的に受診している患者さんを診ていると、例年は10月くらいから血圧が上がってきて、6月くらいになると下がる傾向があります。気温が高い今秋(11月上旬時点)はまだ上がっている方が少ないので、やはり気温によるところが大きいのだと思います」(鳥羽医師)
日本高血圧学会による高血圧の診断基準は以下の通りだが、夏に血圧を測定したときは高血圧の診断基準に当てはまらなかったとしても、冬に測定すると当てはまるということはありえる。
夏に健康診断を受けている人も多いだろう。そんな人は、こんな落とし穴があるようだ。
「血圧は気温だけではなく、時間帯や環境、心理的なものによっても変動しやすいもの。高血圧と診断されていない人でも、ドラッグストアや薬局で血圧計が設置されているのを見つけたら測定するなど、こまめに血圧を測定する習慣をつけ、ご自身の血圧の状態を知っておくといいと思います」(鳥羽医師)
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