いまのところ、都内の人気インター校ではまだ中国人の比率はそれほど上がっていない。中国人保護者の立場からすると、競争率の高い都内有名インターは「チャレンジ受験」。横浜など近隣都市のインター、もしくは東京や地方の新設校への進学が現実的なチョイスとなっている。
ただアメリカンスクール・イン・ジャパンは筆者の取材に、「過去10年で中国のパスポートを保有する生徒の申請者・入学者が増えました。2013年〜2014年度は中国のパスポートを保持する生徒で入学したのは2人でしたが、2023年〜2024年度は23人でした」としている。
岩手で全寮制のインターも開校
2022年には岩手県八幡平市に、全寮制のハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが開校した。日本のメディアでは、同校は450年の歴史を持つイギリスの名門校ハロウスクールの「姉妹校」であると報じられている。
7年生(日本の中1に相当)で入学し、日本への留学ビザが必要な場合、初年度の諸費用は、出願料、入学料、入学保証金を合わせて167万4000円、そこに年間の学費870万2250円を足し、計1037万6250円となる。都内のインターと比べてもかなり高額だ。
香港を拠点とするハロウインターナショナルスクールはタイ・バンコクにも校舎を構えるが、北京(2005年開校)、香港(2012年開校)、上海(2016年開校)、重慶、海口、深圳、南寧(いずれも2020年開校)と、中国で事業を急拡大してきた。
安比校は現在の中国人比率について、台湾や香港の出身者を含めて30%程度だと公表している。ただ、学校スタッフによると、これから中国人比率は高くなっていく見通しとのことだった。
日本人が気づかぬ間に熱を帯びる中国人インター受験戦争。日本のインターの歴史を振り返ると、バブル期には多くの外国人駐在員が子息を通わせ、その後の経済停滞期には日本人生徒が多く通うようになり、近年では日本人富裕層の間でも人気が高まってきていた。だが今後はまた別のフェーズに突入し、中国脱出組が主要な顧客になっていくだろう。
「日本のインターへ行く中国人の数は、習近平が死ぬまでは増え続けるでしょうね」中国で学校法人を運営する有名な教育者は呆れ顔でそう話す。隣国から富裕層が安心で安価なインター教育を求めて移住してくるトレンドはしばらく変わりそうにない。
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