日本のインター校に中国から「教育移民」が殺到中 自国の半分以下の学費が「中国脱出組」には魅力

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2022年春に上海で厳しいロックダウンが実施されたことがトリガーとなった。「上海は中国で最も国際的な大都市であるという認識が崩れました」と郭さんは話す。いつ出国に制限がかけられるかわからないという危機感から、子どもの卒業を待たずに海外移住すべきだという考え方が保護者の間で広まったとのこと。遅きに失するよりはいいというわけだ。

そのほかにも、中国で近年強化される教育への締め付けが大きな要因となっている。郭さんの息子の通っていたインターでも政治思想の授業が中国語で強制的に実施されるようになった。

2022年には上海市の一部で、インターを含めた私立校に通う学生の比率を全体の5%まで引き下げる方針が示された。

中国のインターは「貴族学校」

そもそも、中国でインターはどのような位置づけなのか?「潤」してきたばかりで息子を東京23区内の公立小に通わせる中国人ジャーナリストによると、中国のインターの中には、「貴族高校」と言われ、施設こそいいものの教育の質が学費の高さには追いつかない学校が少なくないそうだ。

娘(グレード3、小学3年に相当)が都内有名インターに通う中国人女性は、「特にコロナ後、中国人の比率が大きく伸びました」と言う。競争率が相対的に低いプリスクール(インターナショナルスクールの中でも未就学児を対象)で特に増えているとのことだ。

別の中国人女性は、娘(グレード10、高校1年に相当)が通う横浜のインターでは、中国人の比率が(内規で出身国別の上限に定める)25%に近づいていると話す。「保護者用のWeChatグループに新しいメンバーが次々と入ってきています。みんな小学部低学年の保護者ですね」

中国における「日本インターブーム」を受け、すでに中国人向けのコンサルティングサービスが誕生している。

そのコンサルは、1対1の相談を1時間当たり788元(約1万6200円)で請け負う。また、「年間プラチナVIP」という最上級コースには、学校選び、学校参観の予約、時間無制限の相談、志願書作成の代行、保護者または子どもとの英語面接といったサービスが含まれ、料金は1万8000元(約37万円)。

決して安くない金額だが、それでも中国版インスタといわれるSNS、「小紅書」を通じた問い合わせが尽きないそうだ。

実は、日本に「潤」したばかりで日本語がほとんどできない前出の郭さんもこの「年間プラチナVIP」を利用した。郭さん自身がそうであるように、「潤」でやってくる面々には日本の事情に詳しくない人が数多く含まれている。みな必死なのだ。

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