言論の自由求め、中国のインテリが東京に大集結 中国国内の政治対立が日本を巻き込み始めた

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2022年11月末に中国各地でゼロコロナ政策に異議を唱えた「白紙運動」が起きた際には、東京でもJR新宿駅南口で数百人が参加する集会が開かれた。(写真:筆者撮影)

日本に中国から多くの知識人が押し寄せている。中国で言論統制が厳しさを増しているためだ。属性はジャーナリスト、人権派弁護士、ドキュメンタリー映画の監督、出版業者、学者、芸術家と多岐にわたる。あたかも清朝末期に日本で西洋思想を吸収した後に帰国し、辛亥革命(1911年)をリードした先人たちのようだ。

そうした知識人の例として真っ先に挙げられるのが、歴史学者で経済学者の秦暉(しん・き)氏だ。

リベラル派の大物で、2015年には、清朝帝政の呪縛から解き放たれた中国で立憲民主主義が定着しなかった経緯を検証した著書、『走出帝政 (「帝政を抜け出す」)』(邦訳未刊)が発売停止に追い込まれた。現在は東京大学客員教授を務める。

秦氏は都内の大学などで2023年から「全球化和亜州(グローバリゼーションとアジア)」と題する連続講座を実施中で、毎回超満員となっている。

「東京で中国を再建する」

近代史に精通した作家の傅国涌(ふ・こくよう)氏も日本に身を寄せる知識人だ。彼が2011年10月10日に『中国経営報』に発表した「1911年、清朝滅亡前夜」という記事が中国で注目された。書き出しはこのように暗示的だった。

「1911年、北京を支配していた人々は、自分たちの時代がもうすぐ終わるとは一人も考えていませんでした。(中略)上から下まで全員です。彼らの日記には食事や贈り物の記録がつづられており、はたからは本当に繁栄している『盛世』のように見えました」

傅氏も都内で「在東京重造中国(東京で中国を再建する)」というテーマで、清朝末期に日本にやってきた中国人思想家についての連続講座を開いている。

2010年ごろから中国の知識人の受け入れを積極的に行ってきた東京大学大学院総合文化研究科の阿古智子教授(現代中国研究)も、日本に拠点を移す中国知識人の増加を感じている。

自宅の一部を開放し、中国の知識人を受け入れてきた東京大学大学院の阿古智子教授(写真:筆者撮影)

阿古教授は2022年に、東京・中野にある自宅の一部を「亜州コモンズ」と名づけて開放し、宿泊者を受け入れている。かつて政治犯や思想犯が収容された旧中野刑務所(豊多摩監獄)の表門(通称「平和の門」)と中国陝西省の横穴式住居「窰洞(ヤオトン)」をイメージして作られたガラス張りの玄関がトレードマークだ。

ここには言論活動への統制が強まる中国や香港からのゲストが宿泊してきた。政治的事情で弁護士資格を奪われた女性弁護士、ゲイのジャーナリスト、#MeToo運動を牽引してきた女性とそのパートナーなどだ。

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