1990年代に入ると、セドリック/グロリアは4ドアハードトップのみに絞られた。従来型の4ドアセダンは残るが、前型を継続販売することでモデルチェンジは行われていない。
1991年に登場した9代目、Y32(ワイサンニー)という、型式番号で愛称されることもあったセドリック/グロリアは、これより先に登場した最上級車種の「シーマ」と共通のV型6気筒エンジンを搭載する車種も選べるなど、これまで以上に上級で高性能な1台という存在になった。
グランツーリスモとブロアムという2つの選択肢
また、ここまで国内の新車の多くが異形ヘッドランプと呼ばれ、一体構造のヘッドランプで車体の造形やラジエターグリルとの一体感を表現するようになっていたが、9代目となるセドリック/グロリアでは、あえて昔ながらの丸目4灯の意匠をグランツーリスモという車種に用い、他にない存在感や、ある種の迫力をもたらした。クラウンが車体と一体感を強める異形ヘッドランプを採用し続けたのに対し、セドリック/グロリアの独自性は遠めに見ても明らかだった。それをグランツーリスモというブランドとして位置づけ、セドリック/グロリアを象徴するようになっていく。クラウンではなく、あえてセドリック/グロリアを選ぶ理由がひとつ加わった。
一方、ブロアムと呼ばれる車種は、上質な乗り味を特徴とする車種に位置づけられ、こちらは異形ヘッドランプを用いることで上級さを表したのである。
クラウンが、アスリートとロイヤルという車名で特徴を色わけするのと同じように、グランツーリスモとブロアムは、セドリック/グロリアに2色の選択肢をもたらした。この時期のクラウンは販売がやや不調で、セドリック/グロリアがクラウンを上まわる販売実績を残したことも記憶される出来事だ。クラウンが、アスリートの存在をこの先強化したのも、そうした危機感の表れといえるかもしれない。
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