これにより、それまでクラウンの先行を許してきたセドリック/グロリアは、鎬を削る存在へ躍進したのである。
ほかに、エンジンで言えば直列6気筒が上級車種では象徴的で、セドリック/グロリアも、またクラウンも直列6気筒を主力エンジンとしてきた。だが、日産は、1983年の7代目セドリック/グロリアで、V型6気筒エンジンを登場させた。アメリカで当時のV6エンジンは、廉価車種向けとされていたが、日本ではより上級車種のV8エンジンに通じる形式ととらえられ、V6に憧れる機運があった。
日産とトヨタの対比が鮮明に
1970年代の排出ガス規制を乗り越えた日本が、再び高出力を目指すなか、日産は排気を利用するターボチャージャーを選び、トヨタはDOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)の自然吸気を選んだ。それぞれに特徴的で、両社、両競合車が、相手を強く意識しながら独自性を求めて商品力の強化をした面白みがあった。
ちなみに、国内で最初に量産乗用車でターボチャージャーを採用したのは、日産セドリックである。ターボエンジン車は、アメリカのオールズモビル(ゼネラルモーターズ=GM)によって1954年に市販車で採用された。日本で人々の注目を集めるのは、1973年のBMW2002やポルシェターボではないか。そしてセドリック/グロリアが日本車におけるターボエンジン時代を切り拓いたのであった。
セドリック/グロリアは、クラウンという競合を持つことで、国内の双璧をなす上級4ドアセダンとして人気を保持したのである。
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