2024年「世界の株価が暴落する」と読む7つの理由 次にバブルが崩壊したら一体どうなるのか

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しかし、「2024年こそ、ついに暴落は最終的に確定的に起こる」と2022年よりは自信を持っていえる。理由は以下のとおりである。

(1)金利の低下を見込んで、米国株は急騰している。だが願望シナリオを先取りしてしまったから、実際に低下しても織り込み済みだし、市場とFED(アメリカの中央銀行)のギャップからすると金利低下が不十分という失望は必ず起こる。
(2)金利は低下しても、量的緩和縮小は続く。これについてFEDは揺るがない。前述のように、重要なのは資本投下「量」である。金利が低下して、民間の金融が増えれば別だが、中央銀行が国債を放出し、財政も拡張できないとなれば、民間資金も増えない。
(3)中央銀行と政府の破綻は、主要国1つで起きれば、世界全体に伝染する。そして金利上昇は、「欧州不動産王」と言われたシグナの破綻に見られるように、すでに小さな爆発を始めている。
(4)中国は必ず、資本投下が縮小する。政府からの土地の放出は、貨幣そのもの、資本そのものだった。これが増えない以上、縮小する。さらに、それに対して、国民全体でこれまでため込んだ貯金をすべて不動産に投下してしまっているから、彼らの資産は縮小スパイラルであり、日本のバブル崩壊以上のショックが来る。それが2024年とは限らないが、徐々に現在起こっており、それを逆転させる財政余力はない。
(5)地政学リスクは、もはやリスクではなく、確定的な危機である。これ以上悪い要素が出そろうこともない。イスラエル・ガザ紛争がどうなろうと、イスラエルに対するテロのリスクは高まる以外ない。ウクライナも混沌が続くのが「最善シナリオ」であり、良くなりようがない。北朝鮮ももちろんだが、世界中でインフレからの生活困窮、経済全体が停滞する中での格差拡大は、政治、軍事リスクを高めるだけだ。
(6)中南米で進行している右翼化は危険で、世界的な右翼化および左右両極への極端化はさらに進行する。この結果、社会問題の解決策がさらになくなり、経済の不満が軍事テロだけでなく、社会的なテロリズムとして爆発する可能性が高まる。
(7)これら金融市場外の事件が、崩壊寸前の金融市場にとどめを刺す。さらに、金融市場は崩壊寸前にもかかわらず、むしろ膨張を加速している。パリバショックのあと、ダウ工業株30種平均が最高値を更新したように、金融市場が苦し紛れに楽観シナリオに走るというのは最終局面のパターンである。
そして、バブルになっているのは、新興企業ではなく、マグニフィセント・セブン(GAFAM、エヌビディア、テスラ)であり、また国債市場である。金融市場の中枢、規模最大のものがバブルになっていてそれが崩壊するのだから、バブルはとことん崩壊する。

最後に。救いは、金融市場のバブルが総崩壊しても、上述したように、技術進歩が起きていれば、GDPが減少しても、生活の質は上がる可能性は十分にあるし、むしろ値付けによる膨張でない、実質的な改善が起きやすい世界になる。

だから、むしろ実質主義の人々が報われる社会がやってくるのであり、良い社会がやってくる可能性があるのである。

(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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