「発達障害の子」がもっとイキイキとする接し方 当事者の子どもたちの視点を追体験してみる

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LDのお子さんは、家や学校だけでなく、その他の時間・場所でも同じ「世界」を生きています。

たとえば、「似たような文字がすべて同じに見えてしまう」という「世界」を生きている子は、道路や駅で看板を目にしても、そこに書かれている文字の意味がわかりづらい可能性があります。

あるいは、「先生の話をうまく書き留められない」という子は、近所の人から話しかけられても、言っている意味がうまく聞き取れていないかもしれません。

そして、「計算が苦手」という子は、買い物のレジでどのお金を出せばいいのかわからず、まごついてしまう……そのようなことも考えられます。

これは当事者の「やる気不足」でも「努力不足」でもなく、脳の特性によるものです。

周囲の大人はそのことを叱るのではなく、「その特性によって生じる問題をどのような工夫で解決できるか?」という視点でサポートしてあげてほしいのです。

最近ではコード決済なども浸透しているため、計算の苦手な子が買い物をするのであれば、「計算せずに済む環境」をサポートしてあげるのが賢明でしょう。

LDを乗り越えて活躍する著名人たち

LDは、「全体的な発達には遅れはないのに」という大前提がつくため、世界的に大活躍している人の中にもLDの公表者が多数います。

俳優のトム・クルーズさんや、キアヌ・リーブスさん。

お仕事柄、台本を頭に入れなければいけないわけですが、他の俳優のように「読む」のではなく、「聞く」という行為で問題をクリアしてきました(若い頃は母親やアシスタントに台本を読んでもらい、録音テープを何度も聞いてセリフを暗記していたそうです)。

たとえ苦手なことがあっても、周囲のサポートがあれば乗り越えられる好例を、彼らは示してくれています。

また、テレビタレントのミッツ・マングローブさんも、文字がうまく認識できないため、読むことが難しい特性を持っています。

難関の慶應義塾大学法学部に合格したキャリアをお持ちですが、「文字をすべて絵としてイメージで捉える」という勉強法で、見事に問題を乗り越えています。

ちなみに、LDは判明しづらい障害のため、成人になってから「自分はLDだったのか」と気づく人もいるようです。

落語家の柳家花緑さんは、その1人です。

読み書きが苦手で、疲れたり緊張したりすると、普段読めている字まで記号のように見えてしまい、読めなくなることがあったと、メディアなどで語っています。

ご本人は「自分の努力不足だ」と悩んでいたそうですが、40歳のとき、テレビの視聴者からの手紙をきっかけに診断を受け、LDと判明したそうです。2017年に公表し、その特性と付き合いながら高座でご活躍されています。

さらに花緑さんは、LDに加えてADHDの特性を持っていることも明らかにしています。

LDに悩みながらも活躍を続けている著名人の障害の乗り越え方・対処のしかたは、当事者の方々、周囲の方々にとって大いに参考になるでしょう。

自らがLDであることを公表している彫刻家のロナルド・D・デイビスさんは、著書の中で「LDの人は言語ではなくイメージによって思考を行い、この非言語的な思考と直感力が特別な才能を生むことがある」と述べています。

LDは困難をもたらすだけのものではなく、ギフテッドとして働くという視点は興味深いものがあります。

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