結婚相談所のお見合いでは、“お見合いのお茶代は、男性が払う”ということを推奨している。“必ず払え”というルールではないのだが、男性が払ったほうがお見合いはよいほうに転がると考えられているからだ。
数年前までは、お見合い市場にいる女性たちも、「男が払って当然」と考えている人が多かったように思う。
「お見合いのお茶代が割り勘でした。お断りでお願いします」
「お見合いを終えて、『あの、お支払いは?』と聞いたら、『じゃあ、1000円ください』って言われました。お茶代が1450円だったんで、450円だけご馳走になりました。セコイ」
「今日の男性、お支払いのときに『仲人から、お茶代は男性が支払ったほうがうまくいくと言われているんですが、まだ付き合うかどうかもわかっていないのにねぇ』と言うので、『私のぶんはお支払いしますよ』とお金を出したら、それを受け取りました。付き合うかどうかわかっていないのではなく、絶対に付き合いません!」
などと、払えない男に対して、女性たちは手厳しかった。
癒し系の話し口調が功を奏した?
そんななかで、筆者の会員にこんな女性がいた。
たかえ(41歳、仮名)は、2023年の3月から活動を始めたのだが、お見合いをすると、必ず男性から“交際希望”がきていた。あまりの通過率のよさに最初は筆者も驚いていた。癒し系の話し口調が功を奏しているのかと思っていたら、実はそこには彼女の独自の気配りがあったのだ。
「お見合いで、まだお付き合いするかどうかわからないうちにお茶をご馳走になるのは申し訳ないので、お見合いするラウンジのコーヒーの値段をネットで調べて、それと同額ぐらいのコーヒーチェーン店のコーヒーチケットを持って行って、帰りにお渡ししているんです」
「お茶代は男が払って当然」という顔をしている女性たちが多いなかで、たかえのこの気遣いは、男性の心を捉えたのだろう。
また、こんな女性もいた。
みやこ(37歳、仮名)は都内在住なのだが、見合いしたよしお(38歳、仮名)は、東京駅まで2時間かかる隣県の地域に住んでいた。見合いを終えたときに、みやこがよしおに言った。
「今日は、遠方から電車代をかけてきてくださったのですから、お茶は私にご馳走させてください」
見合い後、男性からはすぐに交際希望が来て、相談室からのメッセージには、「優しい気遣いがとてもうれしかったようです」と記されていた。その日のお茶代は男性が支払ったというが、みやこの申し出に優しさを感じて、“こんな女性と結婚できたら幸せでないか”と、男性は感じたのだろう。
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