そんななかで結婚するなら、夫が1馬力で働く家庭より、夫婦が2馬力で働く家庭を男性は望むようになる。男性にとって女性の収入がプロフィールに記載されているほうが、結婚後の生活イメージがつきやすい。また、高年収の女性だとそのお金を男性が当てにできる。
これはなにも50代以上に限ったことではない。
若い世代も結婚後に共働きを希望する男性が多くなった。女性も、収入をしっかり得ている人ほど、結婚後も働きたがる。男性のお金で慎ましやかにやりくりをするのではなく、自分の稼いだお金をプラスして、余裕のある暮らしをしたい思う人が増えているからだ。
ワンオペ育児を敬遠する女性たち
そんな世の中の流れのなか、結婚相談所の男性の自己PRのところに、よく目にするようになった言葉がある。
「1人暮らしも長いので、家事は一通りできます」「自炊しているので料理は作れます」「結婚後の家事と育児は、分担します」
ひと昔前は共働きをしていても、家事と育児は女性の負担が大きかった。「結婚したら、仕事に加えて家事や育児がのしかかる。夫は手伝ってくれてはいるが、7割以上は私が担っている」そんな声も多かった。
しかし、今は家事や育児を男性がサポートするのではなく、平等に分担する時代になった。それを見合いの席で打ち出さないと、お断りされる原因になる。
みゆき(25歳、仮名)が、さとし(33歳、仮名)と見合いしたときのことだ。さとしは医師で、1500万円近い年収があった。彼の開口一番が、この発言だった。
「結婚したら仕事は辞めてください。家をしっかり守って、子育てに専念してほしいです」
この言葉を聞いて、「この人との交際はお断り」と、開始5分で思ったという。みゆきは筆者に言った。「年収があればいいってもんじゃないし、『仕事はやめてください』って、上から目線で言われたことにもカチンときました」。そして、こう続けた。
「年収が高かったから、ちょっと目がくらんだけど、イコールな立場で話し合いをしたり、家庭生活をしていけたりする人でないと、私は結婚ができない。それが今回のお見合いでよくわかりました。世の中には、専業主婦になりたい女性もいるかもしれないけれど、私は結婚後も働き続けたいです」
また、こんなケースもあった。
外資系で働くちえ(38歳、仮名)は、大手メーカー勤務のとしお(40歳、仮名)とお見合い後、お付き合いに入った。
「これまでお会いしたなかでは、一番話が合うかもしれない」と言っていたのだが、そんな折、ちえにヘッドハンティングの話が舞い込んだ。ちえとしてはキャリアップのチャンスだったので、転職の話をとしおにした。
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